2010年12月11日

ロシア版ウィキリークス&新しい告発サイト

実はこんなサイトがあった。

Kompromat.Ru
http://www.compromat.ru

ロシア版WikiLeaks。一番古い資料は1999年。エリツィンがダメになるあたり。
目的は、情報にアクセスする自由、自由な精神の向上、及び文化・科学・教育活動、これらに対する国民権利の行使を可能にすること。らしい。

でもYulia LatyninaEcho of Moscowでお馴染み。って有名じゃないか…。)いわく、このサイトは玉石混交。かなりガセネタもあるんだとか。
でも、こういうのがロシアにもあったのね。

変わって、こちら新しい告発サイト「オープンリークス」の話。
アサンジのワンマンが気に入らなくって、やめた人たちが作ったから、ノウハウもそれなりにあるのだろう。理念はウィキリークスと同じらしい。

Dagens Nyheterでの記事によると、

ウィキリークスとの相違点は
・受け取った漏洩情報を直接公開はしない。アクセスは既存のメディアやNGO、NPO、労組などの団体に限定される。

・漏洩情報をどう公開するかは、それぞれの団体の責任となる。

ということらしい。でもそのアクセスできる団体をどう規定するのかとか、情報の精査も個々の団体に委ねられるのかとかは不明。

まあ、「ウィキリークスの情報を使って記事を書いてる新聞に対して、怒っている政治家がほとんどいないのは、興味深い。」と言ったのにはうなずける。
もしこういった新聞がソースがウィキリークスであることを伏せた場合どうなるのか、それがオープンリークスで分かるかもしれない。

[追記] 12/23
オープン・リークスについての日本語で読める詳細な記事(日経)↓
ウィキリークス離脱組が新告発サイト 元ナンバー2が明言

2010年12月9日

真っ当なビジネスとは #WikiLeaks

[追記]
Flattrの共同設立者の1人、Peter Sundeは、Pirate Bayの立ち上げ人でもあります☆
そりゃあ、WikiLeaks応援するわな。 

 ***

企業による資金ルート遮断作戦によって苦戦しているウィキリークスに力強い味方が!
DataCellというアイスランドの中間支払い処理を行っている会社です。

Andreas Fink(アンドレアス・フィンク)CEOは、VisaMastercardの決定を不服とし、ウィキリークスの寄付金の送金サービスを続行するとホームページで発表。以下抜粋&翻訳。

***
127
[一部省略]
言論の自由は、検閲や制限なく話せる自由だ。言論の自由は国連人権宣言第19条で認められ、国際人権法で認められた人権である。さらに、欧州、アメリカ大陸、アフリカそれぞれの国・地域の人権法でも認められている。[訳注:アジアと書かれていないのが考えさせられる…]
ウィキリークスが何か罪を犯したなんて、考えるのもバカバカしい。もし、ウィキリークスが犯罪的ならば、同じ情報を流している CNNBBC、ニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、アルジャジーラといったその他大勢も犯罪者ということだ。だけど、誰も彼らに[そういった意味で]触れようともしない。まだニューヨーク・タイムズを購読することもできるし、クレジットで買うこともできてるだろう。
世界のどこかで、何かの犯罪で、ウィキリークスが組織として告訴されたということも聞いていない。結論は、ウィキリークスは我々の人権のために闘っているのだから、彼らに寄付するのはただただ名誉なことである、ということだ。
DataCell はクレジット・カード支払い処理を手伝いながら、ウィキリークスのために業務を行うまでだ。このことをいろんな視点からどう捉えることもできる。[だが]我々は誉れ高い組織のために、彼らがサーバー上での読み込みと、人々が読みたがっているメッセージ[おそらく公電]の配信とに必要な資金を得る手伝いをしている。
VisaMastercardのような世界規模でのクレジット・カード決済を独占している大企業が、法律よりも政治勢力を優先しなければならないと考えているなら、何億ユーロという損害を覚悟しなければならないし、相当な取引を失う覚悟もしなければならない。このことで、世界規模のクレジット・カードが終焉するということも十分ありうるだろう。

アンドレアス・フィンク
DataCell ehf CEO


***

翌日には、さらに強調するような文章を掲載。


***
128
[一部省略]
ウィキリークスに対し支払い処理を行っているDataCell ehf は、寄付が再び可能となるよう即刻、法的措置を取ることに決めた。ウィキリークスがVisaのブランドに傷をつけたとは思えない。ウィキリークスへの支払い停止は顧客との合意を反故にするものだ。Visa利用者はウィキリークスへ寄付する意志をはっきりと示しており、Visaはその要求を満たせていない。ウィキリークスへ送金をする場合に比べれば、送金を阻止する方が、彼らのブランドをもっとずっと傷つけることになるだろう。大勢のVisaの顧客が、私たちに、寄付が実際できるかということを確認してきた。また彼らはVisaが彼らを拒否したことを不服としている。Visaが私たちを締め出そうとしている政治的圧力の下にいるのは明らかだ。Visaのような世界クラスの会社は政治に関与すべきではないし、送金という得意分野で普通にビジネスをすべきだ、と我々は強く信じている。ギャンブルやポルノといったビジネスに対し送金することは、彼らにとって何ら問題ない。人権を掲げるウィキリークスへの寄付の方が倫理に反するというのが何故かなんて、私の理解を超えている。

VisaはウィキリークスとDataCell ehf に対し大きな損害を与えた。支払いを7日間以上差し止めるということはありうるかもしれないが、今後一切の寄付を拒否するというでは、寄付そのものが成り立たなくなる。これは明らかにウィキリークスにとって財政上の大きな損失を引き起こすわけで、これこそが差し止めの唯一の目的のように思われる。これはVisaのブランドがどうこうの問題ではなく、政治問題だ。Visaはこういったことに関与すべきでない。

寄付をしたいという方は振込を利用してください。 そして、地域にあるVisaの取引会社に行って、Visaを使ってウィキリークスに寄付をしたいというあなたの誠実な要望を分かってもらってください。その間、私たちウィキリークスをサポートすることに全力を尽くします。

アンドレアス・フィンク
DataCell ehf CEO
***

こういう粋なCEOもいるんだな、とちょっと感動しました。
まあ、リスクもあるけど、いい宣伝にもなるし、なかなかしたたかな社長さんなのかもしれません。
でも、こういうCEOが成功できる世の中になるようWikiLeaksは頑張ってるのだと考えれば、この反応は当然か。

それからスウェーデンのMalmö(マルメ)にあるFlattrという会社もウィキリークス支援を発表しました。
以下、SVTの記事の一部翻訳:

***
社長のLinus Olsson(リーヌス・オルソン)氏は
「現時点で何の判決も下されていないのに、(送金停止を)続けるのは違法だ。」

「アサンジ氏はスウェーデンで一個人として起訴された。ウィキリークスが起訴されたわけではない。」

「ウィキリークスに寄付したいという人がいるなら、我々はその手はずを整える。警察とのゲームに付き合う気も、勝手な規約を作るつもりもない。」

と、語っている。

今のところ、約3500人がFlattrを通じてウィキリークスに寄付をしている。寄付金は目下増加しており、おそらく一連の騒動が増加の原因だろう、とオルソン氏。
寄付金は直接ウィキリークスに行くのではなく、同サイトの運営の法的支援をしているオランダにある基金に送られる。
MastercardVisaPaypalのような大企業は、違法行為をしているとの理由でウィキリークスとの関係を切っている。
MastercardVisaとは異なり、Flattrのホームページに対する外部からの攻撃はない。

***


ちなみにFlattrはソーシャル・マイクロ・ペイメントという画期的な寄付システムを採用しています。
この方式だと送金遮断はかなり難しくなるそうです。興味のある方は、ホームページをご覧下さい。(てか、この紹介文かなり愉快な書き方してるな…。)

さらに!Paypalが堪忍したのか、口座資金凍結を取り消したようです!
口座への新たなる寄付は制限されたままですが、口座にすでに送られた寄付金はウィキリークスへ送金されるそうです↓
Paypal släpper Wikileaks-tillgångar


[追記]
Flattrに関する翻訳元になった記事は、SVT textにしかありません。時間が立つと消えてしまうので、一応原文を張っておきます。

Malmöföretag hjälper Wikileaks

Malmöföretaget Flattr är ensamt om att
förmedla donationer till Wikileaks.

Ingen är vare sig dömd eller åtalad
för läckorna från Wikileaks, och så
länge det gäller kommer Flattr att
fortsätta förmedla pengar till
organisationen, säger Linus Olsson,
bolagets styrelseordförande.

-Och det Assange anklagas för här i
Sverige rör enbart honom som person,
inte Wikileaks, säger Olsson till TT.

-Om någon vill stöjda Wikileaks med
pengar, ordnar vi det. Vi ska inte
leka poliser eller stifta egna lagar.

Hittills har ca 3.500 personer donerat
pengar till Wikileaks via Flattr.
Bidragen har ökat på senare tid enligt
Olsson, sannolikt som följd av all
uppståndelse.

Bidragen går inte direkt till
Wikileaks, som inte är någon formell
organisation, utan till en stiftelse
i Nederländerna som juridiskt stödjer
verksamheten.

Stora företag som Mastercard, Visa och
Paypal har brutit med organisationen
med motiveringen att den sysslar med
illegal verksamhet.

Till skillnad från Mastercards och
Visas hemsidor har Flattrs sajt inte
utsatts för några attacker utifrån.


英語で読める記事はこちら(The Local)。

ウィキリークス応援団 2


まだまだウィキリークスを支援する人はいっぱいいます。
ミラーサイト*もすごい勢いで増殖してます。さっき見たら1300を超えていました!

*コピーサイトと書いたら、「コピーは情報が古いままだけど、ミラーはオリジナルとシンクロして常に情報が書き換えられるからミラーサイトと言うべき。」というご指摘を頂きました。

すごいことに、国家単位の応援団まで現れました。
なんとボリビアは政府サーバーでWikiLeaksのリーク内容のホスティングを開始しました。
南米の左派が強い国では、ウィキリークスを支援する政府がいくつかあるようです。
エクアドルは、「うちの国に逃亡しないか?居住権も無条件であげるよ。」と申し出てくれましたし。

う〜ん、これは心強い!

さらに、ブラジルの大統領もウィキリークスを擁護!

国連職員のフランク・ラ・ルエ(Frank La Rue)言論表現自由の権利の促進・保護に関する特別報告官も「米国はアサンジ氏に対して立件することはできないだろう。もし、それでも立件するとすれば、この件は言論の自由にける非常に悪い例となる。」と言っています。

偉い人!(じゃなくてもいいけど、特に偉い人!)ウィキリークス応援宣言を出してください!

建前の復権:WikiLeaksの意義 〜アサンジ氏のインタビューより〜


フォーブスでのインタビューの翻訳が日経新聞で読めるようになっています。



以下、告発の意義を語っているところの抜粋。

WikiLeaksの根本的な意義

今回の案件[注:公電のこと]も、同じようなものになるだろう。言語道断な法令違反や倫理にもとる行為もいくつか明らかになるが、それに加えて、その背後にある意思決定の構造、社内の経営倫理といったものも明らかになる。そこに非常に大きな価値がある。
イラク戦争の機密文書についても同じで、多数の犠牲者を生んだ注目すべき[注:報道価値の高い]事件の記録も含まれているが、そこから戦争の全体像が分かることに大きな意義がある。

企業に関わるリークが50%くらいだというWikiLeaksが、健全な市場を作る一助となる

不誠実な企業が誠実な企業よりも内部告発によってマイナスの影響を受けるということは、誠実なCEOが誠実な会社を経営しやすくなることに他ならない。それが我々の基本的な考え方だ。オープンで誠実な企業と、閉鎖的で不誠実な会社とのせめぎあいの中で、我々は後者に対して社会的評価の面でとほうもない負荷をかけようとしている。

最終的には、質の高い製品を作る誠実な企業が、質の低い製品を作る不誠実な企業に対して競争優位に立てる状況が生まれるのだ。また従業員を大切にする企業の方が、大切にしない企業よりも有利になる。

私に特定の思想や経済思想の持ち主というレッテルを貼るのは誤りだ。私は様々な考え方を学んできたが、その1つが米国流のリバタリアニズム(絶対自由主 義)、市場重視のリバタリアニズムだ。このため、こと市場に関してはリバタリアンの立場をとるが、政治学や歴史の知識もあるため、自由市場は自由になるよ う働きかけなければ最終的に独占が生じることは理解している。ウィキリークスは資本主義をより自由で、倫理的にするためのものだ。

***

この数十年間、国連の舞台などで人権とか自由についてのいろんな取り決めが行われた。それは、多くの場合、建前となってしまうかもしれないけど、でもそれでうまく事が運ぶこともある。
今の現状、例えばWikiLeaksへの露骨な圧力とかを見ると、もうその建前すら無視され崩壊しつつあるんだなってことが、はっきりしてしまったような気がする。

一国レベルの法律も国際法も、1人の人間を捕まえるためにこれだけ『例外』を作れる。1つのウェブサイトを閉鎖するためにこれだけの『例外』が許される。そしてACTAを始め、この建前をも反故にしてしまうような新たなルール作りが進行している。

ウィキリークスは建前を現実世界で通じるものにしようとしているんだと思う。
今まで決めてきたルールに本質的に忠実であろうとしているだけなんじゃないか。

誠実な行いが評価され、不誠実な行いが正される、そんなことがまったく当たり前でない世の中を、どうにかして変えたいという意志が原動力。そのためには、なんとなく企業が悪いとか、政府が悪いと言うのではなく、誰のいつのどんな意思決定が、どんな結果を招いているのかをきちんと指摘することが必要。

だから、ウィキリークスを支援する人を名指しで評価し、反対に潰そうとする人を名指しで非難することも大事だと思う。

それにしても、この人は本当に頭がいい!と心底思った。
PCだけじゃなく、数学、物理も学んできたとかもそうだけど、話の運び方が巧みで。
インタビューとかチャット上の質問とか、ほとんど即答しなきゃいけないような場面でも、完全に理路整然と無駄なくしゃべってる。小論文でも読んでるような気分になる。
あと、言葉のセンス。ガーディアンの一問一答で、「各国政府が権力基盤をfiscalise[会計化]してきた」みたいなことを言ってたけど、うまい造語だと思った。アサンジさんが発明した言葉じゃないんだろうけど、現代政治を一発で表現する動詞だと思った。
WikiLeaksの意義をいろんな人が書いているけど、結局この人の表現が一番説得力があって洗練されてると思う。

あんまり彼本人に関心を寄せてはいけないとは思いつつ、スゴいと思わずにはいられない…。

2010年12月8日

出頭前のアサンジ氏が豪新聞に寄稿 #wikileaks

 Don't shoot messenger for revealing uncomfortable truths

上記リンクは、アサンジ氏がロンドン警視庁出頭前に寄稿したものです。
要約文を書こうと思ったら、すでに素晴らしい全文翻訳をされた方がいました。
みなさんも是非、彼本人の主張に耳を傾けてください。


http://longtailworld.blogspot.com/2010/12/dont-shoot-messenger-for-revealing.html
(市村佐登美さんのブログ『Long Trail World』へ)

スウェーデン・テレビ、SVTのGood job!な仕事 #wikileaks


[追記]
Dokument inifrånでWikiLeaksのドキュメンタリーが放送されると書きましたが、SVTは特別に英語版も製作、それがYou tubeですっかり出回ってます。
しかも50分強の番組をスプリットなしでアップロードする強者まで(笑)

WikiRebels -The documentary
(リンク切れの可能性もあります)

夏から半年近くかけて作った力作!SVTの株はこれで上がったわ~。
***

SVT(スウェーデンの公共テレビ)の評論家Stig Fredriksonは「アメリカは中国みたいなことをしている(USA agerar nästan som Kina)」と評した。以下、Assange tar fokus från Wikileaks bedriftの要約。

***
アサンジ氏逮捕を大々的に報道させ、リーク公電そのものの内容から人々の目をそむけようとしている。
アメリカだけでなく、ウィキリークスを公式に非難した他国もその流れに同調するであろう。
国境なき記者団もこれに対し、抗議声明で「米仏のような国の言論の自由に対する政治が、突然、中国と同じようなことになってしまった。」と述べている。
中国やイラン、サウジアラビアのような閉鎖的な国から公電がもれたわけではない。アメリカなのだ。
非民主的な国の立場は微妙である(リーク内容によって自国に有利であったり有害であったりするから)。

今までに、リークによって出た犠牲者は1人も報告されていない。また、世界中の閣僚や外交官の中で、赤っ恥をかいた者もいれば、笑う者もいる。全うなことをしていた者は逆にリークのおかげで評価されることもあるから。

また、やる気のあるジャーナリストにとってリークは朗報だ。ウィキリークスは常にスクープを出し続けてきた。普通のジャーナリストが一生に一度出せるか出せないかのスクープを、ウィキリークスは毎日出しているのだ。

オープンであることや透明性はすべての当該国の国民にとってよいことだ。だから、民主国家であるなら、リークを止めるのではなく、[リークされた内容に問題があるなら]国民にどう説明すべきかを少なくとも考えるべきだ。

同時にアメリカ・ウォッチャーたちは、リークがアメリカの衰退を示しているのではないかと懸念している。
***

同じ媒体で、無茶苦茶言ってる記事を見たこともあるけど、この記事を読んで、
スウェーデンではまだ言論の自由は残されている、と思えた。StigGood job!

ちなみにWikiLeakstwitterでもつぶやかれてたけど、SVTはリーク公電の内容を検証したり、今回のリークという現象を検証する番組を早くも作りました。仕事が早い〜♪
Dokument inifrånという番組で国内のことを扱ったドキュメンタリーを毎週放送しているのですが、今回2週にかけてウィキリークスを特集しています。かなり好意的な作り方をしていると思う。

第1回目は、アメリカがスウェーデン国内でテロリスト(の疑いを勝手にかけられた普通の人々)を監視していた!しかも、それをスウェーデン政府も裏で了承していた!というリークについてでした。
アメリカの諜報活動に関しては、ノルウェーのテレビ局がすでに調査報道で明らかにしていた(ノルウェーでも同じことしてた)のですが、スウェーデン政府が監視活動を許可していた、というのは公電で明らかになりました。きっと国民が納得しないだろうから、秘密協定っていうことで、どうでしょうね?なんて提案していたらしい…。どっかで聞いたことあるような話だけど…。

第2回目はまだ放送されてないけど、「リークを武器として」なんてタイトルで、ウィキリークスそのものについてのドキュメンタリーとなりそうです。

いい仕事をするメディアは多いに応援しよう!(WikiLeaks含め)

でも削除されたツイートに言及するメディアがいないのはどーなんだ!?

被害者の削除されたツイート 〜アサンジ氏は無実、単なる二股〜 #WikiLeaks

[追記]
Ardin氏は現在パレスチナの西岸地区でキリスト教系団体のために働いているそうです。彼女のブログによると来週、Yanounという小さな村に移るんだとか。(そこへ取材しに行くのはさぞ難しいでしょう…)


訴訟を取り下げた、という噂も聞きますが、まだ確証は取れていません。。
唯一見つかった記事にも「may have ceased(取りやめたのかも)」と、曖昧な書き方でした。
それが本当なら喜ばしいと同時に、何だかこうなってくると逆に彼女の安否もちょっと心配…。

また一連のアサンジ氏への容疑に関して、ガーディアンのコメントがなかなか良かったです。

***

被害者だという2人の女性のうち1人の削除されたツイートが見つかっています。

それによれば、女性のうちの1人、Anna Ardinは、被害にあったと言われている8月14日の前後でこんなツイートをしていました。

14日

「ジュリアンがザリガニパーティー(スウェーデンの8月頃よくある)に行きたいんだって。誰か今夜か明日パーティーする人でうちらのための席があるよって人いない?」 


そして被害の翌日である15日のツイートには
「夜中2時に外で座ってる。世界のかっこよくって頭のいい人たちに囲まれたら、寒くなんてほとんどないよ。ほんと素敵!」とあります。




アサンジ氏は、Ardin氏の家に8月11日から10日間ほど滞在していました。18か19日ころ、友人の女性もアサンジ氏と関係を持っていたことをArdin氏は知ります。そして2人は、20日、警察に申し立てに行き、同日、ツイートは削除されました。しかし(マヌケなことに)、彼女はブログを持っていて(削除済み)、ブログに転送されたツイートをしばらく削除し忘れていたために、保存できた人がいたようです。 その後も、このあるネット上の記事のツイートに言及したコメントが削除されたり、彼女のブログの該当箇所が削除されるといったことがあったそうです。

また、警察の発表で破れたコンドームが見つかったとありました。(事件発覚直後にこのことは正式に公表されています)。
コンドームを使ったレイプなんて聞いたことないです。
(スウェーデンにおける性犯罪はかなり罪が重く、夫婦間でも合意がなければ犯罪として扱われることもありますが…)
被害者の女性は、アサンジ氏が故意に破ったということを問題にしていたそうです…。

重要な事実として、彼女たち自身が、最初からアサンジ氏を訴えたわけではない、ということです。
最初、彼女たちが警察に行った理由は、コンドームが破れたからアサンジのHIV検査をしてほしいということだったのです(それもおかしな話ですが)。被害者の女性は友人同士で、アサンジ氏に二股をかけられていたと知り激怒。仕返しをしよう!という風になったそうです。ツイートをした時は、まだ二股とかけられていたとは思ってないから、被害者とは思えない幸せそうなツイートなのです。

つまり、この時点でアサンジ氏は何かの罪で訴えられたわけではない

性犯罪部門でトップの女性検事が事件を調べた結果、当然ながら何の罪もないと判断。アサンジ氏は、自由の身となりました。

しかし、その後、まったく関係のないヨーテボリ(スウェーデンの第二都市)にいる検事がこの件を事件化。8月の時点ではまったく言及されていなかった「事実」がわんさか出てきて、アサンジ氏が性的虐待と強姦の罪に問われることになったのです。

ちなみにArdin氏は、キューバで反共産主義活動のかどで強制送還された過去を持つ社会民主党党員で、公人と言ってもいい。なので、彼女の実名はサイトで明らかにされています。

※このエントリは、以下のスウェーデン語と その内容を英語に訳したサイトに依拠しています。
Fallet Assange: Uppgifter raderas om och om igen
http://www.samtycke.nu/2010/09/fallet-assange-uppgifter-raderas-om-och-om-igen/

Assange Case: Evidence Destroyed Over and Over Again
http://radsoft.net/news/20101001,01.shtml



オリジナルのスウェーデン語のサイトは、性行為は(夫婦であっても)同意のもとに行う、ということを世の中に訴えている団体のサイトです。
Ardin氏が、同団体の運動理念を悪用し本当の性犯罪被害者をないがしろにした、そして公の人間であるということなどを理由に名前を公表しています。

また、現在ストックホルムの検察庁にアクセスできない状態です。
これもひょっとしたらDDoS攻撃…?
と、思っていたら、これは味方からの攻撃だったようです。応援団のひとり、Anonymousでした。


(ちょっとこの攻撃は援護射撃にはならなかったかな…。公式記録は見れた方がいい。消されたりするかもしれないし。)

などと思っていたら、彼らも同じ考えだったらしく

"We will say that we are moving away from DDoS and working on methods to support Wikileaks with methods like mirroring the site and other methods to allow WikiLeaks to keep operating"


DDoS攻撃から、ウィキリークスのコピーサイトを増殖するなどして支援する方へ作戦変更する、といったことをガーディアンに語っています。

2010年12月7日

ウィキリークス応援団 #wikileaks


ウィキリークスを締め上げる国家、銀行、企業がいる一方で(ウィキリークス包囲網)、ウィキリークスを支援する人たち世界中にたくさんいる。 


記事では、「支援者がいることもある」だなんて不自然な日本語になってるのが、記者の微妙な立場まで想像されてしまうのだけれど。

GuardianSpiegelLe Monde、El Paísといったリーク内容を事前に得ていた新聞媒体、 国境なき記者団、欧州各国の海賊党Pirate Party)それにコピーサイトを作ってウィキリークスを増殖させている人たち(コピーサイトは現在700以上!)。公式な声明はリーク後に出してないみたいだけど、アムネスティ・インターナショナルからは2009年に(New Media部門)をもらっているし、スウェーデンのプロバイダー、Bahnhofは「純粋にビジネスのため」と言いながら、サービスを止めてない。前にも書いたダニエル・エルズバーグ氏のように(「沈黙と嘘」が命を奪う)、個人でウィキリークスを応援する人もたくさんいる。[追記:エルズバーグ氏は7人の賛同者とともに「WikiLeaksへの攻撃は私への攻撃と見なす!」といった旨の声明文を発表。]

その中でも強力な応援団、Anonymous(「匿名」)がすごい。
顔がばれないように、映画V・フォー・ヴェンデッタ』のあのマスクをつけていろんな活動をしてるらしい。そんな彼らの『アサンジ仇討ち作戦』声明は時代遅れをひと回り回ってもはや新しい。思わず日本語訳。

***
アサンジ仇討ち作戦
Operation Avenge Assange

「史上初の本格的情報戦争に参戦せよ。戦場はウィキリークスである。君たちは兵士だ。」
ジョン・ペリー・バーロウ
“The first serious infowar is now engaged. The field of battle is WikiLeaks. You are the troops.”
– John Perry Barlow


ジュリアン・アサンジは我々が大事にしているものすべてを神としている。彼は一貫して検閲を軽蔑し、検閲と闘ってきた。おそらく史上もっとも成功を収めた国際的なトロールであり、彼が恐れるものは何ひとつありゃしない(アメリカ政府でさえ)。Julian Assange deifies everything we hold dear. He despises and fights censorship constantly, is possibly the most successful international troll of all time, and isn't afraid of fucking anything (not even the US government).

今、ジュリアンは国際指名手配犯として第一級の注目を集めている。現実においてもヴァーチャルの領域でも、だ。世界中の政府がジュリアンの血を求め、政治家たちは最近のリークに激怒し、彼の祖国でさえ彼を狼の群れの中へ投げ捨てた。オンライン上で、ウィキリークスは大規模DDoS攻撃の的である。法律と、汚職にまみれた現職議員への徹底的な迎合による攻撃の的でもある。これらの攻撃がこの男の口を封じるかもしれない。
Now, Julian is the prime focus of a global manhunt, in both the physical and virtual realms. Governments across the world are baying for his blood, politicians are up in arm about his recent leak, and even his own country has abandoned him to the wolves. Online, WikiLeaks is a focus of mass DDoS attacks, legislation and downright pandering to the corrupt incumbents which would silence this man.

それゆえ、Anonymous(「匿名」)はジュリアンのために反撃する機会を得た。我々はすでにのしかかっている抑圧的な未来に対抗する機会を得た。我々は史上初の第一次情報戦争を戦う機会を得た。
Therefore, Anonymous has a chance to kick back for Julian. We have a chance to fight the oppresive future which looms ahead. We have a chance to fight in the first infowar ever fought.

1PayPal(ペイパル)は敵だ。DDoS攻撃が計画されているが、その一方でボイコット(不買運動)もする。友人や家族にもそうするよう促してくれ。
1. PayPal is the enemy. DDoS'es will be planned, but in the meantime, boycott everything. Encourage friends and family to do so as well.

2.現時点でリークされている公電をできる限り広めてくれ。リーク公電をハードドライブに保存し、CDにコピーしてばらまくんだ。最終目標は人間DNS(インターネットを完全にシャットダウンしない限り止められない)だ。
2. Spread the current leaked cables as much as possible. Save them to hard drives, distribute them on CD's, mirror them to websites and seed them on torrents. The end goal is a human DNS - something that can only be stopped by shutting off the entire internet.

3.タイム詩のパーソン・オブ・ザ・イヤーでジュリアン・アサンジに投票せよ。これは彼の運動そのものに与するわけではないが、必要なだけの人目を引くことにはなるだろう。(http://tinyurl.com/2wb7ju8)
3. Upvote Julian Assange for Times 2010 Person of the Year. While this might not aid his cause, it will get him much needed public exposure. (http://tinyurl.com/2wb7ju8)

4.声を上げろ!TwitterMySpaceFacebook、その他のソーシャル・ネット・ワーキングサイトは重要な情報配信のハブ[中心]だ。知り合いすべてが何が起こっているかを気づかせてくれ。たった1人でもいいから次に誰かに伝えるよう説得できたなら、それを毎日できたとしたら、情報は幾何級数的に広まるだろう。
4. Get vocal! Twitter, MySpace, Facebook and other social networking sites are crucial hubs of information distribution. Make sure everyone you know is aware of what is happening. If you can convince just one person to tell one other person every day, the spread of info will be exponential.

5.もしやる気があるなら、自分の国、地域に関する公電をプリントアウトしてばらまこう。バス停や駅、街灯に貼り付けよう。工夫して、人目を引くようにするべし。落書きでウィキリークスのサイトを宣伝するのも素晴らしいアイデアだ。
5. If you're up for it, print out cables which are relevant to your area and distribute them. Post them on bus stops, train stations, street lamps. Be creative and catch people's attention. Using graffiti to spread the WikiLeaks website is also a great idea.

6.地域の議員に、市町村長に、その他コンタクトをとれる政治家ならとにかく誰でも、不平を訴えよ。リークに関するコメントを求めよ。一字一句を記録、ないし録音すべし。
6. Complain to your local MP, mayor, or whichever political figure you can contact. Ask him for comments about the leaks. Record every word that is said.

7.抗議せよ!行進を計画せよ、嘆願書を出せ、行動せよ。数がとにかく物を言う。
7. Protest! Organise community marches, send around petitions, get active. This cannot happen without numbers.


要するに
抗議せよ
伝えろ
尋ねろ
戦え

TL; DR
Protest.
Inform.
Enquire.
Fight.




インターネットの未来はどうなるか分からない。
我々はAnonymous
我々は許さない。我々は忘れない。
我々に期待せよ。
The future of the internet hangs in the balance
We are Anonymous.
We do not forgive; we do not forget
Expect Us.
***

最後の4行はお決まりの文言らしい。
でも、こういうことをフツーの人がフツーにやってたりするから、面白いよな〜と思う。

「匿名」だからインターネットとの相性はよさそうです。
 

ウィキリークス包囲網 #wikileaks


[追記]
ペイパルが、口座閉鎖の際に政治的圧力があったことを公式に認めました。
PayPal admits US pressure over WikiLeaks account freeze

アサンジ 氏の逮捕に加え、ウィキリークスへの兵糧攻めが本格化してきた。

ペイパルに続き、スイス銀行が口座を閉鎖、ついにMaster CardVISAが送金サービスを停止した。ペイパルはもともと問題起こしてたし、銀行が口座凍結するっていうこともあるにはあった。でもVISAがサービスを停止したのは史上初めてだそうだ。AmazonEveryDNS同様、理由は「規約違反」。憲法でも法律でもはなく、彼ら民間企業の「規約」で寄付金が止められている。

スターリンが大粛正したのは、彼が懐疑的で臆病だったっていうのを聞いたことがあるけど、アメリカもウィキリークスが相当怖いのかもしれない。

勇気をくれたアサンジ氏の言葉 #wikileaks


[追記]
アサンジ氏が今朝9時30分にロンドンで警視庁により逮捕されました。氏はスウェーデン当局から婦女暴行及び強姦の容疑がかけられていました。
インターポールも国際手配の中でももっとも重い、Red notice(赤手配書; 身柄引き渡しを求めることができる)をアサンジ氏に出していました(強姦容疑でRed noticeが出るのは非常にまれ)。

WikiLeaksは、逮捕を非難しながらも、リークのアップロードは続けていくと発表。

Justice for Assangeは、1時半からWestminster Magistarte’s Courtでの抗議活動を呼びかけています。

ロンドンに知り合いの方がいたら教えてあげましょう!

[追記2]
アサンジ氏は逃げたこともしていないし、警察庁には自分で行ったのです。
逮捕前、彼の弁護士であるJennifer RobinsonDemocracy Now!に出演し、「身の危険があるので表に出ないようにしている。だが警察はいつでも弁護士を通じて彼とコンタクトがとれる。」といったことを述べています。

にもかかわらず、「国外逃亡の動機・可能性がある」と、アサンジ氏の保釈は認められませんでした。
英国も法治国家とは言えなくなってきたよ…。


 ***
ガーディアン紙で行われたアサンジ氏の一問一答の記事を、誰がリークをしたのか?」 で数日前にもちらっと引用した。


日本のメディアは、そこにあったUFO関連のリークもあるという発言を取り上げたくらいだった。もっと大事な質問があったのに、取り上げたのはそこ!?という感じで大いに落胆した。

元外交官からの質問や、ACTA(この法律、内容もそうですが作る過程にも相当問題あり。参照:『無名の一知財政策ウォッチャーの独言』)への言及があったりと非常に大事な情報があった。その中で、私に勇気をくれた言葉があった。その部分だけ原文と訳(かなり意訳)を以下に載せた。


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tburgi:
欧米政府は、報道の自由を法的に保障するなどして、自分たちの道徳的権威を主張してきた。
ウィキリークスとあなた自身に対する法的な締め付けを行うことで、この主張には説得力がなくなるように思える。
(アメリカに好かれてる報道機関なんて守る必要があるだろうか?メディアとして認められ報道の自由を主張するのに、国から許可をもらわなければならないとしたら、欧米は権威主義体制と変わらなくなってしまう気がする。)
ウィキリークスを攻撃することで、欧米政府が道徳的権威を失うという見方に賛成ですか?
てか、そもそも欧米政府に道徳的権威なんてあったんでしょうか?
Tim Burgiバンクバー、カナダ



ジュリアン・アサンジ:
欧米は、契約やローン、株、銀行株といったものを張り巡らして、力関係を経済基盤に置いてきた。そういった環境で言論が「自由」であることは簡単だ。なぜなら政治的意志の変化なんてものが、こういった(経済的)基盤の変化につながることはほとんどないから。欧米の言論には、ほとんど権力に対する影響力がなくて、ぎゃあぎゃあ騒ぎ立てる自由くらいしかない。中国のような国家では、検閲がすみずみまで行き渡っている。なぜなら言論がいまだに力を持っていて、権力はそれを恐れているからだ。検閲というものを考えるとき、支配体制の中で言論の力が持つ可能性を表す経済的なシグナルだと考えるべきなんだ。アメリカが我々を攻撃してきたことは、大きな希望でもある。言葉の力がこの経済包囲網を突き破ることができるかもしれないんだから。


tburgi:Western governments lay claim to moral authority in part from having legal guarantees for a free press.
Threats of legal sanction against Wikileaks and yourself seem to weaken this claim.
(What press needs to be protected except that which is unpopular to the State? If being state-sanctioned is the test for being a media organization, and therefore able to claim rights to press freedom, the situation appears to be the same in authoritarian regimes and the west.)
Do you agree that western governments risk losing moral authority by
attacking Wikileaks?
Do you believe western goverments have any moral authority to begin with?
Thanks,
Tim Burgi
Vancouver, Canada



Julian Assange:
The west has fiscalised its basic power relationships through a web of contracts, loans, shareholdings, bank holdings and so on. In such an environment it is easy for speech to be "free" because a change in political will rarely leads to any change in these basic instruments. Western speech, as something that rarely has any effect on power, is, like badgers and birds, free. In states like China, there is pervasive censorship, because speech still has power and power is scared of it. We should always look at censorship as an economic signal that reveals the potential power of speech in that jurisdiction. The attacks against us by the US point to a great hope, speech powerful enough to break the fiscal blockade.

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アメリカは言葉の力を認めている、だからウィキリークスが恐い。
言葉の力はまだなんとか大丈夫なんじゃないか、そんなアサンジ氏の言葉は私がブログを続ける力になってます。


2010年12月6日

気候変動枠組み条約会議 #cablegate


京都議定書延長反対の日本に環境団体から非難の声、COP16
 (AFPBB News 2010年12月02日 19:14)

「メキシコのカンクン(Cancun)で開かれている国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)で日本政府代表団が、京都議定書の延長に反対する方針を表明したことに対し、環境保護団体などから非難の声があがっている。」

フランスでもデモがあったりしたそうです。
鳩山政権の時にあれだけ言っておきながら…
でも、日本に決定権はありません。米中が賛成していれば、日本は反対なんてするわけないだろうし…。
ウィキリークスのことに集中しすぎて、大事なニュースを逃してしまわないよう気をつけねば。
人間の記者さんは忙しいと思うので、Tassaのブログはウィキリークスに特化したいと思います。

COPと言えば、前回のコペンハーゲンではすさまじいデモ&デモ弾圧がありました。
そのCOPで、アメリカは裏でいろんな工作活動をしていた、ということもリーク公電で明らかになっています↓

WikiLeaks cables reveal how US manipulated climate accord


日本語で読める記事もありました↓
COP15舞台裏の「妨害」、リーク公電がカンクンに落とす影

それからDemocracy Now!で、350.orgの創設者Bill McKibbenがコメントしています。
(英語のテキストが画像下で読めます)↓

Bill McKibben: WikiLeaks Cables Confirm U.S. "Bullying and Buying" of Countries during COP15 Was Worse than Realized

Tassaの勝手にWikiLeaks応援宣言/Tassa's personal WikiLeaks support declaration


「私がウィキリークスを応援せずにはいられない理由」

ウィキリークスを非難する際、主に2つの言い方があるようです。

ひとつはリーク内容は、「危険である」という主張。無実の人の命までも危険にさらす、というヒラリー・クリントンの声明もそれです。

もうひとつはリーク自体の価値を下げるやり方。「こんなの大した情報じゃないよ。」とか言うやつです。BBCのラジオなんかでもそんな意見を聞きました。

「危険だ」という主張はフェアな言い方ではありません。もしくはそう判断するのは時期尚早です。リークのせいで犠牲者が出た、という公式な発表はまだなされていません(アサンジ氏は、そうであったらもっとメディアと政府が騒いでいるはずだ、とTED talksで言っていました。)それどころか、アフガニスタン戦争機密文書のリークによる犠牲者はいなかった、という国防総省の公式発言もありました。もしかしたら起こるかもしれない犠牲を心配するより、今現在進行している国家が関与する虐殺、虐待に目を向けるべきです。今の世界にある多くの受難は、まちがいなく政治的な決定が引き起こしたものです。そしてACTAのような重要な事項が不当なやり方で決定されています。天災ではなく人災なのです。

「大したことない」という意見も正確ではありません。まず25万という膨大な量の電報を読み切ったわけではない、ということ。次に、重大なリーク内容を一部の専門家は知っていたとしても、ほとんどの人間が知らされてないことの方が多いわけです。アメリカの核がヨーロッパにあるとか、アメリカが自国領土の外で監視活動を行っていた、とか。その他もろもろ。

どちらの言い方も、「権力の視点」または「国家の視点」からの言い方のような気がします。それは、私たちの言論の自由がすでにどれだけ失われてしまったかを示していると思います。政治を語るとき、どれだけの私たち自身の語彙を使っているでしょうか。私たちは本当に「国益」について考えるべきなのでしょうか。(てか、公共の福祉っていう意味で「国益」を本当に考えてる政治家は少ないんじゃ…)「政治とカネ」って言っただけで、なんか批判した気分になってないでしょうか。親切に用意された権力の言葉、紋切り型の言葉を使わなければ政治討論ができないなんて、おかしなことになってます。思考と言語は切っても切り離せない。ジョージ・オーウェルの『1984』に出てくるニュースピークは象徴的です。私たちの生活のすみずみに関わってくる政治。それを語るのに新しい言葉が必要です。ニュースピークのような統治者が用意したものではなく、下から湧き上がってくるような言葉が。

リークされた公電は権力の言葉で書かれています。公電の内容を権力の言葉で議論してしまうのでは、リークされたことの意味が半減しています。

言論の自由に反対する人は誰もいないはず(と思いたい)。言論の自由がプライバシーだとか他の権利と衝突する場合、バランスをとらなきゃいけないというのは周知のこと。言論の自由より大事なことがあるっていうのももっとも。でも言葉もまた、その大事なことのためにある。だから言論の自由をまったく捨ててしまうなんてことはできない。親米か反米だとか、右か左か、保守か社会主義者かアナーキストとか、そんなの関係ない。
嘘とか捏造された情報でなく、正しい情報が議論(言論)には必要です。そりゃあ、いろんな意見を持った人がいて当然だけど、持ってる情報がそれぞれ違うのに、どうやって意見をひとつにまとめられるのさ?どうやって何かを解決できるのさ?

戦争で議論の的になるのは、犠牲者の数。その多寡でのみ個々の戦争について考えるのが正しいとは思わない。でも、その多寡でつまずくことも多い。戦場で、たった1人で死者の数を正確に数えることができる人間はいない。だから証言は重要で、イラクとアフガニスタンのWar Logsのリークがなければ、ここまで正確な数は出なかっただろう。

議論のための議論は終わりにしませんか。人間の手を通して書かれたものである限り、公電やWar Logsが絶対的な真実を物語っているとは言えないと思います。でも、リークのおかげで今までよりかは正しい情報は手に入った。ましな議論もできる。あとは世直し!

以上、私の勝手にWikiLeaks応援する宣言。

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(The following is not an exact translation of the above Japanese text, but contains the major argument)

"The reason why I cannot help supporting WikiLeaks"

There seem to be two major ways of denouncing WikiLeaks.

One is to insist that the revealed information “endanger” lives of people including “innocent citizens.”
Another is to lower the value of the information itself, saying like “this is nothing new.”

The former is not fair to say, or at least too early to do. We haven't heard about any official report about how the leaks were practically dangerous. Instead Pentagon officially stated that the revelation of the classified Afghanistan war documents has not caused any victim so far, which was not really in the spotlight (ex. see articles of BBC and McClatchy). We must see the fact that the tremendous crimes, including murder and abuses of the innocent people, are committed, directly or indirectly, by nation states. Lots of suffering of the people are undoubtedly caused by the political decisions, some of which are made in an illegitimate way by a few persons (for instance, ACTA). That is no more natural disaster but clearly man-made.

The latter argument is also incorrect. First of all, we haven't made it to check all the cables yet. How can you judge the value of the leaks so early? Second, even if the insistence that some of the leaked facts were already familiar to experts, most of us were not well-informed about such things as U.S. nuclear weapons deployed in several European countries, U.S surveillance in foreign countries and so on.

Both attitudes – to regard the leaks as dangerous or as trivial – seem to me to represent “views of power” or “view of states”, which shows how deeply our freedom of speech has already been undermined. For, when narrating or discussing politics, we stopped, consciously or unconsciously, using our own words Do we really have to care about “koku-eki”, national interests, instead of caring about people? (and I don't think that so many politicians care about national interests in terms of the public good.) Don't we get satisfied by just saying the words “seiji to kane” (politics and money)? We cannot talk about the world without borrowing “power vocabulary” or political clichés, which are particularly provided for us. Thoughts and language are inseparable, which Newspeak in 1984 showed in a horrible way. It is important to obtain new words in order to talk about politics – related to all the aspects of our life.

The cables were written in the language of power. We would not be reflexive enough to understand the meaning of this revelation if we use the language of power for discussion.

Nobody, I hope, is against freedom of speech. Although there is such a common sense that freedom of speech sometimes needs to balance with other sorts of human rights, we can never completely dump it. We mustn't. It does not matter whether you are pro- or anti-America, right or left, a conservative or a socialist or an anarchist. Our discussions should be based on correct information, not on distorted nor fabricated one, so that the discussions can, in the end, lead to some solutions. Surely people have different political perspectives. But, without sharing the same information, how can we reach agreement?

How often the distracting interest about the number of war casualties hiders us from seeing more important things including those killed in wars themselves! To make the discussion further, it is the first step to know that number. In that sense, , the witness has great significance, since no single person can exactly count the bodies. Without War Logs, we would have never known so much about the wars.

It is time to stop debating for debates. We've got much better information to discuss things in a right way. This means that we'll find better ways of facing the world.


This is the Declaration of my personal support for WikiLeaks!


Twitter上で、「#WikiLeaks」が検閲されている


Twitterのトレンド機能で人気の話題が分かるようになっています。ウィキリークスは先週から話題独占、当然、トレンドでも1位のキーワード!

と、思いきや上位10位にも入っていない…。

これは意図的にキーワードから外されているのでは?利用者の関心が向かないようにしているのでは?

詳細な分析の結果、どうやらそのようだ、とまとめたブログがあります↓


同ブログによると、Twitter側は検閲ではなく、技術的な問題だ、などと弁明しています。
でも、まぬけなことにtrendistic.comというサイトでtwitter上のトレンドを調べると、#Wikileaksは最頻出単語。

例えば、11/28だけ見ると、世界中のtwitter上での話題の2%もが、#Wikileaksです。



もし、これが故意でないとしたら、トレンド機能には重大な欠陥があるということだ、と同ブロガーは述べています。

てか、実際SNSに私のwikileaksへのリツイートが反映されてないんだけど! 
関係ないツイートは反映されてるのに。
これも検閲?それとも単なるミス…?

2010年12月5日

自分のお金が引き出せない… #wikileaks

ウィキリークスへの送金業務、ペイパルが停止
(2010年12月5日22時25分  読売新聞)

記事には「送金業務の停止」って書いてあるけど、これって口座の凍結、つまり自分のとこにきた寄付金にアクセスできない、と。

自分のお金が引き出せない…
その決定をいち企業ができる…
私的所有を謳いながら、こういうこともしてしまう。
なんつー、ダブルスタンダード!

PayPalは前から問題ありで、気に入らない組織の口座凍結やってましたけどね。
(Wikipediaの同組織の記事、"Critiscism and limitation"にもちょこっと載ってます)

ちなみにガーディアン紙で、もしまだPayPalが使えたら、あなたは寄付をする?っていうアンケートをやってます(笑)↓
Would you be a WikiLeaks paypal?

リーク内容に触れたいのに、米国及び企業のやり方が露骨すぎて、書かざるをえない。。

個人的には米国の核200発がドイツ、ベルギー、オランダ、トルコ、イタリアに配置してあるっていうリークを見て、沖縄にもあるというリークも出てくるんじゃないかと気をもんでます。

ウィキリークス:米戦術核配備も暴露 オランダ、ベルギーに
(毎日新聞 2010/12/1)