ラベル ジュリアン・アサンジ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル ジュリアン・アサンジ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2011年2月2日

アサンジのお母さん 〜60 minutesより〜 #wl_jp


日曜日にCBS News60 minutesというインタビュー番組にジュリアン・アサンジが出演しました。
この番組に触れたニュースもあったので、ご存知だった方も多いと思います。

報道で話題になっていたのは「ストックされている情報は10万人が鍵のかかった状態で持っている。もしウィキリークスがいかなる手段を用いても情報を公開できない事態になった場合は、鍵を10万人に送信して情報が公開される仕組みになっている。」という部分でした。
組織がなくなっても、人々の意志が情報公開を継いでくれる、というわけですね。

ただ、このことは割と前にも言っていたので、私が驚いたのは別のことでした。

それはアサンジ氏のお母さんのことです。
活動家だったらしいということは聞いたことがあったのですが、まさに「この子供にしてこの母あり」というエピソードが語られていました。

彼女は活動家で、英国主導のオーストラリア奥地で行われた核実験に関する情報を集めて、科学者らを手伝っていた。ある晩、ジュリアンが母と2人でいたら当局の人間に尋問された。

アサンジ:「ちょっと奥さん、夜中の2時に子供と一緒に外出してるなんて…。母親として、どうなんですかね。政治活動から外れといた方がいいんじゃないですか。」と。そして母は、実際その後10年間、政治活動はしなかった。僕に何も起きないようにとね。僕の人生で体験した最初の「権力と機密の濫用」です。

核実験のことはもう探るな、とお母さんは子供を盾に脅されたわけです。しかも子供の目の前で。
他に印象的だった内容は以下の通りです。

ウィキリークス自身の秘密主義が批判されているというコメントに対し、

「私たちが望んでいるのは政府の透明性であって、[一般の]人々の透明性ではない。」という回答。

個人情報はネットなどで漏洩しまくる一方、政府や企業の情報公開が進んでいない/後退していることを簡潔に批判しているなあ、と関心。

「機密が要らないと言っているわけではありません。そうではなく、国家省庁の内部の人間が、腐敗や濫用があると認めた時に、内部にも外部にもその事態についての説明責任を果たせるような仕組みがない場合、その情報は公開されるべきだということです。私たちはそのパイプ役なのです。」

活動のイデオロギー(共産主義とかなの?何なの?という疑問)に関して、

「私たちは自由報道活動家(free press activist)です。鯨を守れとかそういうことではなく。捕鯨支持なのか、反対なのか、それを判断するための情報を提供するということが要なのです。なぜか。公正な市民社会をつくるには生の判断材料が必要だからです。」

全体的にとても良いインタビューだったと思います。インタビュアーのSteve Kroftは、インタビュー後には「ウィキリークスはやっぱ報道機関だな。」と考えを改めたそうです。
すごくいろんなこと(ウィキリークスに直接、もしくは緩やかに関連したこと)が進行しています。公電も出続けています。
正しい情報はマシな世の中を作るきっかけになると、改めて感じさせる出来事が多くなるかも。

[追記]
よく考えたら、アサンジのお母さんもアサンジだった…。きゃー。
ジュリアンのお母さん、が正解。

2010年12月9日

建前の復権:WikiLeaksの意義 〜アサンジ氏のインタビューより〜


フォーブスでのインタビューの翻訳が日経新聞で読めるようになっています。



以下、告発の意義を語っているところの抜粋。

WikiLeaksの根本的な意義

今回の案件[注:公電のこと]も、同じようなものになるだろう。言語道断な法令違反や倫理にもとる行為もいくつか明らかになるが、それに加えて、その背後にある意思決定の構造、社内の経営倫理といったものも明らかになる。そこに非常に大きな価値がある。
イラク戦争の機密文書についても同じで、多数の犠牲者を生んだ注目すべき[注:報道価値の高い]事件の記録も含まれているが、そこから戦争の全体像が分かることに大きな意義がある。

企業に関わるリークが50%くらいだというWikiLeaksが、健全な市場を作る一助となる

不誠実な企業が誠実な企業よりも内部告発によってマイナスの影響を受けるということは、誠実なCEOが誠実な会社を経営しやすくなることに他ならない。それが我々の基本的な考え方だ。オープンで誠実な企業と、閉鎖的で不誠実な会社とのせめぎあいの中で、我々は後者に対して社会的評価の面でとほうもない負荷をかけようとしている。

最終的には、質の高い製品を作る誠実な企業が、質の低い製品を作る不誠実な企業に対して競争優位に立てる状況が生まれるのだ。また従業員を大切にする企業の方が、大切にしない企業よりも有利になる。

私に特定の思想や経済思想の持ち主というレッテルを貼るのは誤りだ。私は様々な考え方を学んできたが、その1つが米国流のリバタリアニズム(絶対自由主 義)、市場重視のリバタリアニズムだ。このため、こと市場に関してはリバタリアンの立場をとるが、政治学や歴史の知識もあるため、自由市場は自由になるよ う働きかけなければ最終的に独占が生じることは理解している。ウィキリークスは資本主義をより自由で、倫理的にするためのものだ。

***

この数十年間、国連の舞台などで人権とか自由についてのいろんな取り決めが行われた。それは、多くの場合、建前となってしまうかもしれないけど、でもそれでうまく事が運ぶこともある。
今の現状、例えばWikiLeaksへの露骨な圧力とかを見ると、もうその建前すら無視され崩壊しつつあるんだなってことが、はっきりしてしまったような気がする。

一国レベルの法律も国際法も、1人の人間を捕まえるためにこれだけ『例外』を作れる。1つのウェブサイトを閉鎖するためにこれだけの『例外』が許される。そしてACTAを始め、この建前をも反故にしてしまうような新たなルール作りが進行している。

ウィキリークスは建前を現実世界で通じるものにしようとしているんだと思う。
今まで決めてきたルールに本質的に忠実であろうとしているだけなんじゃないか。

誠実な行いが評価され、不誠実な行いが正される、そんなことがまったく当たり前でない世の中を、どうにかして変えたいという意志が原動力。そのためには、なんとなく企業が悪いとか、政府が悪いと言うのではなく、誰のいつのどんな意思決定が、どんな結果を招いているのかをきちんと指摘することが必要。

だから、ウィキリークスを支援する人を名指しで評価し、反対に潰そうとする人を名指しで非難することも大事だと思う。

それにしても、この人は本当に頭がいい!と心底思った。
PCだけじゃなく、数学、物理も学んできたとかもそうだけど、話の運び方が巧みで。
インタビューとかチャット上の質問とか、ほとんど即答しなきゃいけないような場面でも、完全に理路整然と無駄なくしゃべってる。小論文でも読んでるような気分になる。
あと、言葉のセンス。ガーディアンの一問一答で、「各国政府が権力基盤をfiscalise[会計化]してきた」みたいなことを言ってたけど、うまい造語だと思った。アサンジさんが発明した言葉じゃないんだろうけど、現代政治を一発で表現する動詞だと思った。
WikiLeaksの意義をいろんな人が書いているけど、結局この人の表現が一番説得力があって洗練されてると思う。

あんまり彼本人に関心を寄せてはいけないとは思いつつ、スゴいと思わずにはいられない…。

2010年12月8日

出頭前のアサンジ氏が豪新聞に寄稿 #wikileaks

 Don't shoot messenger for revealing uncomfortable truths

上記リンクは、アサンジ氏がロンドン警視庁出頭前に寄稿したものです。
要約文を書こうと思ったら、すでに素晴らしい全文翻訳をされた方がいました。
みなさんも是非、彼本人の主張に耳を傾けてください。


http://longtailworld.blogspot.com/2010/12/dont-shoot-messenger-for-revealing.html
(市村佐登美さんのブログ『Long Trail World』へ)

被害者の削除されたツイート 〜アサンジ氏は無実、単なる二股〜 #WikiLeaks

[追記]
Ardin氏は現在パレスチナの西岸地区でキリスト教系団体のために働いているそうです。彼女のブログによると来週、Yanounという小さな村に移るんだとか。(そこへ取材しに行くのはさぞ難しいでしょう…)


訴訟を取り下げた、という噂も聞きますが、まだ確証は取れていません。。
唯一見つかった記事にも「may have ceased(取りやめたのかも)」と、曖昧な書き方でした。
それが本当なら喜ばしいと同時に、何だかこうなってくると逆に彼女の安否もちょっと心配…。

また一連のアサンジ氏への容疑に関して、ガーディアンのコメントがなかなか良かったです。

***

被害者だという2人の女性のうち1人の削除されたツイートが見つかっています。

それによれば、女性のうちの1人、Anna Ardinは、被害にあったと言われている8月14日の前後でこんなツイートをしていました。

14日

「ジュリアンがザリガニパーティー(スウェーデンの8月頃よくある)に行きたいんだって。誰か今夜か明日パーティーする人でうちらのための席があるよって人いない?」 


そして被害の翌日である15日のツイートには
「夜中2時に外で座ってる。世界のかっこよくって頭のいい人たちに囲まれたら、寒くなんてほとんどないよ。ほんと素敵!」とあります。




アサンジ氏は、Ardin氏の家に8月11日から10日間ほど滞在していました。18か19日ころ、友人の女性もアサンジ氏と関係を持っていたことをArdin氏は知ります。そして2人は、20日、警察に申し立てに行き、同日、ツイートは削除されました。しかし(マヌケなことに)、彼女はブログを持っていて(削除済み)、ブログに転送されたツイートをしばらく削除し忘れていたために、保存できた人がいたようです。 その後も、このあるネット上の記事のツイートに言及したコメントが削除されたり、彼女のブログの該当箇所が削除されるといったことがあったそうです。

また、警察の発表で破れたコンドームが見つかったとありました。(事件発覚直後にこのことは正式に公表されています)。
コンドームを使ったレイプなんて聞いたことないです。
(スウェーデンにおける性犯罪はかなり罪が重く、夫婦間でも合意がなければ犯罪として扱われることもありますが…)
被害者の女性は、アサンジ氏が故意に破ったということを問題にしていたそうです…。

重要な事実として、彼女たち自身が、最初からアサンジ氏を訴えたわけではない、ということです。
最初、彼女たちが警察に行った理由は、コンドームが破れたからアサンジのHIV検査をしてほしいということだったのです(それもおかしな話ですが)。被害者の女性は友人同士で、アサンジ氏に二股をかけられていたと知り激怒。仕返しをしよう!という風になったそうです。ツイートをした時は、まだ二股とかけられていたとは思ってないから、被害者とは思えない幸せそうなツイートなのです。

つまり、この時点でアサンジ氏は何かの罪で訴えられたわけではない

性犯罪部門でトップの女性検事が事件を調べた結果、当然ながら何の罪もないと判断。アサンジ氏は、自由の身となりました。

しかし、その後、まったく関係のないヨーテボリ(スウェーデンの第二都市)にいる検事がこの件を事件化。8月の時点ではまったく言及されていなかった「事実」がわんさか出てきて、アサンジ氏が性的虐待と強姦の罪に問われることになったのです。

ちなみにArdin氏は、キューバで反共産主義活動のかどで強制送還された過去を持つ社会民主党党員で、公人と言ってもいい。なので、彼女の実名はサイトで明らかにされています。

※このエントリは、以下のスウェーデン語と その内容を英語に訳したサイトに依拠しています。
Fallet Assange: Uppgifter raderas om och om igen
http://www.samtycke.nu/2010/09/fallet-assange-uppgifter-raderas-om-och-om-igen/

Assange Case: Evidence Destroyed Over and Over Again
http://radsoft.net/news/20101001,01.shtml



オリジナルのスウェーデン語のサイトは、性行為は(夫婦であっても)同意のもとに行う、ということを世の中に訴えている団体のサイトです。
Ardin氏が、同団体の運動理念を悪用し本当の性犯罪被害者をないがしろにした、そして公の人間であるということなどを理由に名前を公表しています。

また、現在ストックホルムの検察庁にアクセスできない状態です。
これもひょっとしたらDDoS攻撃…?
と、思っていたら、これは味方からの攻撃だったようです。応援団のひとり、Anonymousでした。


(ちょっとこの攻撃は援護射撃にはならなかったかな…。公式記録は見れた方がいい。消されたりするかもしれないし。)

などと思っていたら、彼らも同じ考えだったらしく

"We will say that we are moving away from DDoS and working on methods to support Wikileaks with methods like mirroring the site and other methods to allow WikiLeaks to keep operating"


DDoS攻撃から、ウィキリークスのコピーサイトを増殖するなどして支援する方へ作戦変更する、といったことをガーディアンに語っています。

2010年12月7日

勇気をくれたアサンジ氏の言葉 #wikileaks


[追記]
アサンジ氏が今朝9時30分にロンドンで警視庁により逮捕されました。氏はスウェーデン当局から婦女暴行及び強姦の容疑がかけられていました。
インターポールも国際手配の中でももっとも重い、Red notice(赤手配書; 身柄引き渡しを求めることができる)をアサンジ氏に出していました(強姦容疑でRed noticeが出るのは非常にまれ)。

WikiLeaksは、逮捕を非難しながらも、リークのアップロードは続けていくと発表。

Justice for Assangeは、1時半からWestminster Magistarte’s Courtでの抗議活動を呼びかけています。

ロンドンに知り合いの方がいたら教えてあげましょう!

[追記2]
アサンジ氏は逃げたこともしていないし、警察庁には自分で行ったのです。
逮捕前、彼の弁護士であるJennifer RobinsonDemocracy Now!に出演し、「身の危険があるので表に出ないようにしている。だが警察はいつでも弁護士を通じて彼とコンタクトがとれる。」といったことを述べています。

にもかかわらず、「国外逃亡の動機・可能性がある」と、アサンジ氏の保釈は認められませんでした。
英国も法治国家とは言えなくなってきたよ…。


 ***
ガーディアン紙で行われたアサンジ氏の一問一答の記事を、誰がリークをしたのか?」 で数日前にもちらっと引用した。


日本のメディアは、そこにあったUFO関連のリークもあるという発言を取り上げたくらいだった。もっと大事な質問があったのに、取り上げたのはそこ!?という感じで大いに落胆した。

元外交官からの質問や、ACTA(この法律、内容もそうですが作る過程にも相当問題あり。参照:『無名の一知財政策ウォッチャーの独言』)への言及があったりと非常に大事な情報があった。その中で、私に勇気をくれた言葉があった。その部分だけ原文と訳(かなり意訳)を以下に載せた。


***
tburgi:
欧米政府は、報道の自由を法的に保障するなどして、自分たちの道徳的権威を主張してきた。
ウィキリークスとあなた自身に対する法的な締め付けを行うことで、この主張には説得力がなくなるように思える。
(アメリカに好かれてる報道機関なんて守る必要があるだろうか?メディアとして認められ報道の自由を主張するのに、国から許可をもらわなければならないとしたら、欧米は権威主義体制と変わらなくなってしまう気がする。)
ウィキリークスを攻撃することで、欧米政府が道徳的権威を失うという見方に賛成ですか?
てか、そもそも欧米政府に道徳的権威なんてあったんでしょうか?
Tim Burgiバンクバー、カナダ



ジュリアン・アサンジ:
欧米は、契約やローン、株、銀行株といったものを張り巡らして、力関係を経済基盤に置いてきた。そういった環境で言論が「自由」であることは簡単だ。なぜなら政治的意志の変化なんてものが、こういった(経済的)基盤の変化につながることはほとんどないから。欧米の言論には、ほとんど権力に対する影響力がなくて、ぎゃあぎゃあ騒ぎ立てる自由くらいしかない。中国のような国家では、検閲がすみずみまで行き渡っている。なぜなら言論がいまだに力を持っていて、権力はそれを恐れているからだ。検閲というものを考えるとき、支配体制の中で言論の力が持つ可能性を表す経済的なシグナルだと考えるべきなんだ。アメリカが我々を攻撃してきたことは、大きな希望でもある。言葉の力がこの経済包囲網を突き破ることができるかもしれないんだから。


tburgi:Western governments lay claim to moral authority in part from having legal guarantees for a free press.
Threats of legal sanction against Wikileaks and yourself seem to weaken this claim.
(What press needs to be protected except that which is unpopular to the State? If being state-sanctioned is the test for being a media organization, and therefore able to claim rights to press freedom, the situation appears to be the same in authoritarian regimes and the west.)
Do you agree that western governments risk losing moral authority by
attacking Wikileaks?
Do you believe western goverments have any moral authority to begin with?
Thanks,
Tim Burgi
Vancouver, Canada



Julian Assange:
The west has fiscalised its basic power relationships through a web of contracts, loans, shareholdings, bank holdings and so on. In such an environment it is easy for speech to be "free" because a change in political will rarely leads to any change in these basic instruments. Western speech, as something that rarely has any effect on power, is, like badgers and birds, free. In states like China, there is pervasive censorship, because speech still has power and power is scared of it. We should always look at censorship as an economic signal that reveals the potential power of speech in that jurisdiction. The attacks against us by the US point to a great hope, speech powerful enough to break the fiscal blockade.

***

アメリカは言葉の力を認めている、だからウィキリークスが恐い。
言葉の力はまだなんとか大丈夫なんじゃないか、そんなアサンジ氏の言葉は私がブログを続ける力になってます。


2010年12月4日

ジュリアン・アサンジ 「なぜ世界にWikiLeaksが必要なのか」 #wikileaks

日本語で見れる、アサンジ氏のいい映像がありました。↓

http://www.ted.com/talks/lang/eng/julian_assange_why_the_world_needs_wikileaks.html

「subtitles available in」のところでJapaneseを選ぶと、日本語字幕が見れます。時間は20分弱。
ケニアの選挙や、アイスランドでの報道関連の法整備などで、実際にチェンジを起こしてきたことも語られています。

字幕翻訳の方Good job!

[追記]
アイスランドの法整備に関してはこちらの記事に詳しくあります↓

アイスランドを調査報道の聖地に ウィキリークス後押し
(asahi.com)

 [追記2]
字幕翻訳はプロの方の所業でした。道理でなめらか!

WikiLeaks のこと (『rún mo chroí』)