2010年12月27日

暴動の裏に国家の民衆操作あり 〜アフテンポステンより #cablegate


1217日、ノルウェー紙のアフテンポステン(Aftenposten)がウィキリークスから25万の米国外交公電全てを入手したと発表した。
どんな公電があるのか、ちらっと見たが、やはり北欧関連の公電が多い。その中には、日本でも割と報道されたムハンマド諷刺画事件に関する公電もあった(ちなみにスウェーデンでも似たようなことがあり、Lars Vilkという諷刺画家は家を燃やされたり、講義中に襲われたり、未だに命を狙われまくっている)。諷刺画は各国のイスラム教徒らを怒らせたのだが、シリアでは政府が影で暴動を起こすよう操作していたという内容の公電。

まず、暴動が起きた翌日の公電。


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2006.2.5 反欧暴徒がダマスカスで発生、4大使館が荒らされる

(C)要約:2月4日午後、欧州で発出た預言者ムハンマドの諷刺画に怒った暴徒が、ノルウェー大使館と、デンマーク大使館、チリ大使館、スウェーデン大使館の3つが入っている建物を荒らし回ったり、火をつけたりした。暴徒は第一の大使館(ノルウェー)を破壊し、他3つの大使館(丁・智・端)を著しく損壊した。数百人のシリア機動隊がアメリカ大使館の警護にあたり、怪我人も出ず、物の損壊もなかった。デンマークは、ノルウェー同様、大使を帰国させ、同国民にシリアから即刻出国するよう促した。誤算が出たり、統制不能に陥ったり、恥をかくことになるにもかかわらず、シリア体制側はこの暴動のおかげで正統性を高めることになり、いくつかの方法で利益を得たようだ。要約終わり。

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そして、その3日後。


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2006.02.08 暴動の数日前から状況激化にシリア・アラブ共和国政府が関与していたと、シャイフ認める

(C)要約:影響力のあるスンニ派のシャイフが2月6日の事件に関するの詳細を伝えてきた。それによれば、ダマスカスの暴動が起きる2日前から、状況悪化にシリア政府が関与していたと言えるだろう。政府の関与とは、首相官邸と大ムフティの間の情報のやりとりも含まれる。シャイフはまた、シリア政府当局が、事件の罪をなすりつける2、3のスケープゴートを特定しようとしているとも言った。これとは別に、デンマーク大使に確認したところ、Awqaaf省(宗教省)大臣が暴動の前日、モスクでの金曜礼拝で、状況を煽ったということが分かった。要約終わり。

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具体的な内容としては、

・金曜礼拝に来ていた教徒に対し、どんな表現でもいいから諷刺画への怒りを煽れと説教者に命じた。
・広場で旗を立てたり、垂れ幕をかけるのには通例許可がいるのだが、どうやら許可をとった上で「暴徒」は旗を立てたんだとか。
・政府やムフティと通じている富豪実業家が、携帯のショート・メールを使ってデモに来るよう呼びかけを行った。
・デモが十分荒れ、欧米に「怒りのメッセージ」が伝わったところで、今度は実力行使で暴徒鎮圧にかかった。
・今は煽動者のスケープゴートを誰にしようか思案中。

と、いうようなことが書かれている。

個人的にはスウェーデンは何もしなかったんかい!とちょっと思ったり。

ある政治的意図&権力が暴動(その反対とされる「民主」革命も含め)を操作するということがままあるということの一例になったのでは。
こういった政府の民衆操作はあまりにも多いので、「またか…」と、こちらも麻痺してくる。
でも、やっぱりひとつひとつこの事件はこのような操作があったということを確認した上で、批判の土台を作るのはやっぱ大事。自戒を込めて、慣れたらあかん。

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