タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)関連の公電がノルウェー紙のアフトンポステンから出ていました。
内容としては「不都合な真実」というより、大使とか特使とかいう人たちって結構真面目にまともなことやってるんだ、と思わせるある意味「好都合な真実」。
また、newsworthyと言うより、歴史的資料。いわゆるオタク向けかもしれません。
ただし、なぜスリランカに駐在するノルウェー大使や大塚日本大使がアメリカ大使に一部始終を報告しているのかは疑問。他の国の大使全員にこういった報告をしているとは思えないから。
以下、公開された3公電の冒頭要約部分のみ邦訳しました。
#03COLOMBO755
2003.05.06
2003.05.06
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件名:ノルウェー人、日本人がタイガー[訳注:タミル・イーラム解放のトラのこと。以後タイガーと表記]に、話し合いに戻り、支援国会議に出席するよう勧告
1.(C)要約:ノルウェーと日本の代表者はタイガーが和平交渉に戻り、6月の支援国会議に出席するよう説得を執拗に試みた。今のところ、タイガーは協力的ではない。彼らの考えを変える次なる機会は、日本政府からの明石特命大使が5月7日、タイガーのリーダーであるプラバカランに会うときである。その他の和平関連のニュースは、首相が5月6日の議会演説でタイガーに対し懐柔的だったということだ。現時点では、タイガーが強硬路線から譲歩するかどうかは半々といったところである。要約終わり。
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#03COLOMBO773
2003.05.08
2003.05.08
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件名:タイガー日本特使に会う、和平交渉に戻ることに関してはどっちつかず
1.(C)要約:日本の明石特使は5月7日タイガーのリーダー、プラバカランに会い、LTTEが和平交渉に戻るよう勧告した。明石は、タイガーが東京で開かれる支援国会議に出席するかどうか最終結論を出すのに1週間の猶予を与えた。プラバカランは、スリランカ政府が彼らの長年の要求 ーー 援助と安全保障ーーを飲むなら、タイガーも協力的になると示唆しながらも、彼の応答はどっちつかずのものであった。要約終わり。
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(話は横道にそれるが、この公電ではLTTE側のGeorgeという通訳についての言及があり、彼のスキルには問題ありということや、大塚駐スリランカ大使が空手の茶帯を持っているということでプラバカランと話が盛り上がったということまで書かれている。どうでもいいっちゃいいけど、ちょっと面白い。)
結局、LTTEは東京には来なかった。
その3年後。
停戦合意が破られたり、すったもんだあって、EUがLTTEをテロ組織と指定する寸前の時期。
#06COLOMBO872
2006.05.25
2006.05.25
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1.(C)要約:スリランカ政府代表は、軍隊の少なくともある一分子は非正規の武装勢力と協力関係にあることを認めた。政府はこれを取り締まろうとしており、政治的解決のための提案も進めている。EUは5月29日か30日にLTTEをテロ組織と指定する模様だが、この問題をどう処理するかで内部でも意見が分かれており、このことは東京での議論に影響を与えるかもしれない。ノルウェーのハンセン=バウアー特使はスリランカ政府に想定を吟味するよう強く求めており、また関係各位が交渉につくための新たな方法を模索してもいる。要約終わり。
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ちなみに去年5月にプラバカランは殺され、LTTEは政府に制圧されました。
LTTEはノルウェーで活動している人も多く、ノルウェーでの関心は高め。
Aftenpostenでは、LTTE関連の公電をここに挙げた以外にもかなりアップしています。
Aftenposten紙が公開した公電のまとめサイトを参考にしました。
nofrillsさんに教えていただきました。
[追記]
公電の文書番号を追加しました。Aftenposten紙が公開した公電のまとめサイトを参考にしました。
nofrillsさんに教えていただきました。
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