1つは核拡散や他国との関係についてです。重要そうなのですが、かなり長めで「ううっ」っとなっていたところ、ウィキリークス・ウォッチ・ジャパンで抄訳がすでに掲載されていました(いつも早い!)。
もう1つはすごく短いのですが、Australia Groupのある活動に参加することに日本はOKだという内容。
#09TOKYO1598
(S)在東京大使館は2009年2月9日、永井克郎外務省総合外交政策局国際テロ対策協力室長とタニグチ・サトシ軍縮不拡散・科学部生物・化学兵器禁止条約室企画官に、件の別公電を渡した。彼らはオーストラリア・グループ情報交換総会のことは承知しており、日本は参加するものと考えていると言った。
Australia Groupて何ですかと、思ったら、かなり沢山の関連公電を目にしました(中身は未読)。Wikipediaによると、数ヶ国で形成される非公式な団体で、1985年に設立されたそうです。 目的は化学・生物兵器が拡散しないよう、コントロールが必要な輸出業者を洗い出すこと。毎年パリで会議が開かれており、この公電が書かれた2009年は9月に会議があったそうです。題目は「エンド・ユーズ[注:最終的な買い手のことと思われる]の管理実施に関する最良手順のガイドライン(Best Practice Guidelines for Implementing End-Use Controls)」 ←これはベルリン発の公電(#09BERLIN992)にありました。
そして、2008年の会議の模様を詳述してある公電(#08PARIS750)が、テレグラフ紙に掲載されていました。
AUSTRALIA GROUP: PLENARY MEETING, PARIS, APRIL 14-18, 2008
長すぎて、きちんと読めてないのですが、オリゴヌオコレチドの扱いについてだとか合成生物学(synthetic biology)の技術をどう管理するかとかが議論されているようです。私には何のことやらさっぱり…化学の勉強をしておけば良かった。
ロシアの輸出における不透明さが非難されていたり、総会前後で二国間取引が行われていたり、といったことも述べられていました。
以下、日本に言及がある部分の抄訳。
日本は、ガイドライン['Guidelines For Screening Suspicious Orders' ]はスクリーニングの実施に際し各国の裁量権を最大限まで認めるようにするべきだと提案した。
米国、クロアチア、EU議会、ドイツ、日本、オーストラリアは非参加国に対するアウトリーチ活動[注:組織外へ影響力を高める活動と思われる]について報告した。
日本は、経済産業省によって管理されている内部コンプライアンス・プログラムを概説したプレゼンテーションを行った。産業界へのアウトリーチは、産業界において輸出管理の重要性に対する意識を高め、輸出法や輸出規制を周知させた。これによって、輸出管理法に該当する商品の80%が、経済産業省に登録されていて、積極的に内部コンプライアンス・プログラムを使用している企業によって輸出された、と日本は報告した。また日本は、無形技術移転の機密技術のコントロールにおける進捗状況を説明した。経済産業省は、研究機関、大学、民間企業へのアウトリーチ・プログラムを実施するための計画を立てた。経済産業省は、これらの組織において技術の管理や機密度に対する意識が欠如しているという事実に直面しており、輸出法及び規制を説明し、学術機関や民間企業が日本の国家保障に責任を負っているということを強調するために、同省は教育や訓練を行っている。
外務省のHPにも説明があったので秘密組織とかではないですよ→オーストラリア・グループ(AG:Australia Group)の概要
でも何で「非公式(informal)」組織が実質的な輸出のコントロールができるのか。その法的な正統性はどうなのか、気になります。(もっとも、この公電によれば、日本は同組織の決定が法的拘束力を持たないように、と主張しているようだけど。)
あと、Aftenpostenからの公電で言及があったウラン精鉱を輸出しているとかいう疑惑の会社を外務省などがチェックする、というのは、どうなったんだろう。おそらく、その会社を監視するのも、この オーストラリア・グループの活動の一環ということなのかもしれません。
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