2011年1月4日

日本に関するリーク 〜その6〜 #10CANBERRA93 #cablegate #wikileaks #wl_jp

Gått nytt år!
あけましておめでとうございます。

年が明けて日本関連の公電がアップされました。

捕鯨関連の公電5件です。
3件は東京発、1件はワシントン発、そしてほとんどの大手メディアが見落としたと思われるキャンベラ発の1件。
キャンベラからの公電は、以前にもご紹介したTokyo Digital Journalismで指摘がありました↓

The fifth leak on whaling

東京発の公電の大まかな内容については大手メディアも報道しており(例えばWSJはまとまってたし、シーシェパードからコメントも取っている良記事)、またウィキリークス・ウォッチ・ジャパンでも公電冒頭の要約部分が邦訳されているので、そちらを参照してください。

こちらでは、キャンベラ発の10CANBERRA93の冒頭要約部分と日本に言及のあるパラグラフ2と3の一部を訳しました。

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作成日:2010-02-05
機密度:CONFIDENTIAL//NOFORN

1.(C/NF)要約:ピーター·ギャレット環境·遺産·芸術大臣は、2月4日、コーラルトライアングル・イニシアティブ(CTI)と南極地方の保全·軍事兵站、そしてBleich大使との現在の捕鯨関連交渉において、アメリカとの協力関係強化を話題にした。ギャレットは、オーストラリアが捕鯨に関する現在[提示されている]の協定を受け入れることはできないだろう、と考えている。また、アメリカとオーストラリアは、CTI最重要援助国として、CTIの下で良い結果を出す努力をもっとしなければならない、ともギャレットは感じている。ギャレットは、オーストラリアから南極への飛行便の開始を強調し、S氏か議会議員を入れての[南極]訪問に関心を示した。彼はまた、国際生物多様性年におけるアメリカから出てきているイニシアティブに関するさらなる議論にも関心を示した。

2.(C/NF)ギャレットはBleich大使に、捕鯨に関する米豪間の「ありのままの[robust]」やり取りに感謝しており、彼も率直に話せる気分になる、と語った。ギャレットの考えでは、国際捕鯨委員会(IWC)と関連団体で交渉されている現在の協定は、最終的にはオーストラリア政府に受け入れられることはないだろう言った。いくつかの領域で協定は足りないところがあるからだ。ギャレットは交渉過程はほぼ停止しており、「本当の」提案は何も上がっていない、と言った。オーストラリア議会で話し合われている法案(今年の捕鯨シーズンに向けて日本が計画している「スパイ飛行」の役割を吟味するよう、2月4日緑の党[Green Party]が提案した)は、オーストラリアでの反捕鯨感情を強め、政府が現在の提案を受け入れるのは難しくなるだろう、とギャレットは言った。彼はまたこうも言った、2月22日のIWCの小作業部会ブリーフィング[説明会]はNGOや国際社会に対し議論の状況への注意を換気することになるだろうが、これは交渉上、オーストラリアの政策にとって重要だろう、と。

3.(C/NF)[前略]…[外務貿易省(DFAT)大臣の]Wattはさらに言った。現在の評価として、日本の岡田外務大臣の訪問日程は2月22日のNGOへの説明会に近過ぎるので、日本政府と込み入った話をする機会は得られないだろう、と。
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「スパイ飛行」とは、日本がオーストラリアの飛行機をチャーターして反捕鯨団体を監視することです。
この事実が発覚して、スパイ飛行を禁止する新たな法律の提案が出されたそう。

WSJでも取り上げています(英語)。
WikiLeaks Japan: Japanese ‘Spy Flights’ Pressure Whaling Deals 

[追記]
その記事の日本語訳も出ました!
日本の反捕鯨船偵察飛行で対日感情悪化-ウィキリークス

2010年12月31日

インターネット原理主義 〜年末の長いつぶやき〜

TIMEの今年の人(Person of the year)は、Facebook創業者、マーク・ザッカーバーグでした(読者投票は2万票にも届かず10位)。
一方、読者投票で38万票以上を取り1位となったウィキリークスの編集長、ジュリアン・アサンジは選ばれませんでした。
票差は実に36万以上…。

その件で秀逸なツイート:

"Share government's secrets, go to jail. Share normal people's secrets, TIME man of the year!"
(政府の秘密をシェアすれば投獄。一般人の秘密をシェアすればTIMEの『今年の人』!)
@anasqtiesh via @nofrills

Facebookの人権侵害
Facebookの情報が企業や政府にダダ漏れだということは前から割と問題になっています。
(詳しくはCriticism of Facebook @Wikipedia)

例えば、友人がアメリカに行った時の話。
友人は旅行がてら小遣い稼ぎもしようと思ってたらしく、そんなことをFacebookに書いたらしい。
アメリカに着くと、入国審査で「本当に観光目的なのか」をしつこく聞かれる。
友人がそうだと言うと、なんとプリント・アウトされた友人のFacebookのページを目の前に置かれ「じゃあ、これはどういうことだ!」と問い詰められた。
結局、友人は送還された。。

この話を聞いた時、驚くよりも「やっぱりそうなってきたのか…」という諦め、それから恐怖を感じました。

警察や諜報機関に重宝される(ギャグじゃないよ…)だけでなく、企業もまたfacebookの恩恵を受けています。勝手に自分の写真がどこかの広告に使われていたり、プライバシー保護の設定が頻繁に変わったり。(どんだけ変わってるかチェック!)

ちなみにElectronic Frontier FoundationがFacebookのプライバシー・ポリシーがどれだけ悪化しているかを検証しています。→Facebook's Eroding Privacy Policy: A Timeline


現在の利用規約の2.1

Facebookで、またはFacebookに関連して投稿したIPコンテンツを使用する、非限定的、譲渡可能、サブライセンス可能、使用料なしの、全世 界を対象としたライセンス(以下「IPライセンス」)を弊社に付与します。このIPライセンスは、コンテンツが他の人と共有され、その人がそのコンテンツ を削除していない場合を除き、ユーザーがIPコンテンツまたはアカウントを削除したときに失効します。
写真もプロフィールも企業や警察に配り放題。
Facebookで誰とも共有されない写真とかないって…。アカウント削除も難しいし。
そもそも企業への情報流出はミスでも何でもなく、ビジネス・モデルに織り込み済みの現象なのです。

さらに4.登録とアカウントのセキュリティには
Facebookでは、ユーザーの皆様に実名および実在の情報を提供していただいています。
とな。つまり、ニックネームとかはそもそもありえない。
4.3
アカウントが弊社によって停止された場合、弊社の許可なく新たなアカウントを作成することはできません。
一度消したら、2度と使えない。
4.7
ユーザーは連絡先情報を正確かつ最新の状態に保つものとします。

こういったことでパーソン・オブ・ザ・イヤーってことなのでしょうか。

(ちなみにmixiの利用規約は一応まともで、「ユーザーご本人の同意を得ずに第三者に提供することは原則としておこないません」となっています。ただし、ゲームなどのアプリケーションは第三者がやっているため、そっちから漏れることもあります。ってか実際ありましたね。→ミクシィ、4200人の情報が3日間「露出」)

ネットの魅力はDistributed(分散型)であること
こうした問題の原因のひとつ、それは、Facebookが中心型だということ。
一ヶ所に情報が蓄積され、その莫大な情報によってFacebookが権力と化す。まさに中央集権!

インターネットの本来すごいトコって、双方向どころか複数方向でのやり取りが可能だということだと思います。
BitTorrent(日本ならWinnyも)に代表されるPeer to Peer(P2P)はその最たる象徴。
中心がなくても成立する構造です(特にピュアP2P)。


そりゃ、アナーキーです。

んでもって、イデオロギーとしてのアナーキーでなく、そこにもうシステムとしてちゃっかりしっかり存在し機能しているアナーキー。
さらにはオープン・ソース、コピーレフト、Creative commons、wikiなどなど、
知的財産所有権にカウンターパンチ!
それによって下手したら何千年続いてきた私的所有の概念にローキック!
(ウィキリークス、東京発の公電2717点にOIIP[International Information Programs/国際情報プログラム]のタグがついているのもうむうむと納得してしまう。)

あと、みんなで作ったりやり取りした方が早いし効率的だし面白いじゃん!という至極当たり前なコトがAndroidとかLinuxなどなどの発展を見ると本当に実感できます。受動的なユーザーにでさえ。

クローズド・ソースを死守しようとするMicroSoftやAppleは企業に嘘ついたり脅したりまでしてWindowsやMacを使わせようとしてます。
あの老舗リークス、もといCryptomは、MicroSoftが個人情報を当局に売り渡すだけでなく、読み方ガイドまで作ってあげていたことを暴露しています。
(暴露→サイト閉鎖→利用者怒る→プロバイダー謝る、の過程も含めてちゃっかり公開されてます)

一方、Linuxの生みの親、リーナス・トーバルズは他のOSを敵視するなんて的外れなことはせず、「OS縁の下の力持ち」論を語っています
→リーナス・トーバルズ氏「OSは誰からも見えない存在になるべき」

とにもかくにも、理念と実践が一致しちゃう、それがインターネット。(だって実践が先立ってるから)

今さら、何をそんなことと思う人も多いかもしれないけど…。
ちゃんと考えるようになったのはここ1、2年なんだもので…。

Youtube(またはニコニコ動画)とFacebook(またはmixi)を使ってるだけじゃネットの魅力の半分も分かりません。
なぜならそれらは中心型だから。いやはや、勿体ない。

そんな中、SNSも中心型をやめて分散・水平ネットワーク型にしようぜぃという動きが当然ながら出てきました。いわゆるDistributed social network。
いろんなプロジェクトがある中、ついに本格的に始動したのがDiaspora。
私はまだ使ってないから、どんな感じかは何とも言えないけど、分散型ソーシャル・ネットワークっていうアイディアには大賛成。

ちょっとでも意識的にオープン・ソースのものを選ぶだけでも、もうそれだけで人はネット活動家を自称していいと思います。
あと、crypto-anarchismによってちょっとシャイで臆病な人も、情報発信するネット活動家にもなれます。
(Tassaもチキンです。犬ですが。)

OSはLinuxを使い、ブラウザはFireFox、SNSはDiaspora(例えばですよ)。
そうしたらもう立派なインターネット原理主義者(かもしれない)。。

2011年はインターネット原理主義がはびこりますように。
よいお年を!




※ネット活動家の読み物
Christopher Kullenberg 2010. Det nätpolitiska manifestet[ネット・ポリティクス宣言]. Ink bokförlag.
テッサ・モーリス=スズキ (2004) 「知の囲い込み」(『自由を耐え忍ぶ』第4章)岩波書店

2010年12月28日

ついに完成!全公電、タグ・フル表示の一覧表! #cablegate #wl_jp

全公電の発信元、日時、タグなどが公開されていることは以前書きました。
だけど、タグは略語で分かりにくく、いちいち確認しないといけない。だから、この全公電リストも見づらい。

で、面倒くさいからTassa Leaksで作りました!
タグが略語でなくフル表示されるデータベース表を★
(Cabletagsという素晴らしく便利なサイトを元にして作りました)

すごい地味ですが、これからどんな公電がアップされるかが気になる方や、すでにアップされた公電のタグについて改めてチェックしたい方、さらには全公電を入手したけど検索が面倒いという人にまで、いろいろ活用できる便利な表になるかもしれませぬ。

※当然のことながら、公電の中身は含まれていません!

Every leaked United States embassy cables with source, date, time and full tags, excluding body text.

all-cables-full-tags.csv at Google fusion tables(リンク):
http://www.google.com/fusiontables/DataSource?snapid=120740

all-cables-full-tags.csv at Google Docs (53.7 MB)(ダウンロード via Google):
https://docs.google.com/leaf?id=0Bznx-0VjnZqyNzBkYmM1Y2YtNDUxOS00NDY2LTkxNDUtYjk5ZmM1YjE0MWU2&sort=name&layout=list&num=50

all-cables-full-tags.csv.zip at Ubuntu One (5.3 MB)(ダウンロード via Ubuntu One):
http://ubuntuone.com/p/Vd4/

Analysis made by:
http://tassaleaks.blogspot.com

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Original leak:
http://wikileaks.ch

Original CSV file:
http://www.guardian.co.uk/news/datablog/2010/nov/29/wikileaks-cables-data

Wikileaks Cable Tags explained:
http://cabletags.wordpress.com

明石康がLTTE問題で頑張ったらしい:日本に関するリーク 〜その5〜 #cablegate #wl_jp


タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)関連の公電がノルウェー紙のアフトンポステンから出ていました。

日本のタグはついていないものの、LTTEと交渉する明石康氏の活躍が書かれています(この人が1999年、都知事になってたらどうだったんだろうな…。自公が推したのがまずかったのか)。
内容としては「不都合な真実」というより、大使とか特使とかいう人たちって結構真面目にまともなことやってるんだ、と思わせるある意味「好都合な真実」。
また、newsworthyと言うより、歴史的資料。いわゆるオタク向けかもしれません。

ただし、なぜスリランカに駐在するノルウェー大使や大塚日本大使がアメリカ大使に一部始終を報告しているのかは疑問。他の国の大使全員にこういった報告をしているとは思えないから。

以下、公開された3公電の冒頭要約部分のみ邦訳しました。

#03COLOMBO755
2003.05.06

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件名:ノルウェー人、日本人がタイガー[訳注:タミル・イーラム解放のトラのこと。以後タイガーと表記]に、話し合いに戻り、支援国会議に出席するよう勧告

1.(C)要約:ノルウェーと日本の代表者はタイガーが和平交渉に戻り、6月の支援国会議に出席するよう説得を執拗に試みた。今のところ、タイガーは協力的ではない。彼らの考えを変える次なる機会は、日本政府からの明石特命大使が5月7日、タイガーのリーダーであるプラバカランに会うときである。その他の和平関連のニュースは、首相が5月6日の議会演説でタイガーに対し懐柔的だったということだ。現時点では、タイガーが強硬路線から譲歩するかどうかは半々といったところである。要約終わり。

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#03COLOMBO773
2003.05.08 

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件名:タイガー日本特使に会う、和平交渉に戻ることに関してはどっちつかず

1.(C)要約:日本の明石特使は5月7日タイガーのリーダー、プラバカランに会い、LTTEが和平交渉に戻るよう勧告した。明石は、タイガーが東京で開かれる支援国会議に出席するかどうか最終結論を出すのに1週間の猶予を与えた。プラバカランは、スリランカ政府が彼らの長年の要求 ーー 援助と安全保障ーーを飲むなら、タイガーも協力的になると示唆しながらも、彼の応答はどっちつかずのものであった。要約終わり。

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(話は横道にそれるが、この公電ではLTTE側のGeorgeという通訳についての言及があり、彼のスキルには問題ありということや、大塚駐スリランカ大使が空手の茶帯を持っているということでプラバカランと話が盛り上がったということまで書かれている。どうでもいいっちゃいいけど、ちょっと面白い。)
結局、LTTEは東京には来なかった。

その3年後。
停戦合意が破られたり、すったもんだあって、EUがLTTEをテロ組織と指定する寸前の時期。

#06COLOMBO872
2006.05.25

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1.(C)要約:スリランカ政府代表は、軍隊の少なくともある一分子は非正規の武装勢力と協力関係にあることを認めた。政府はこれを取り締まろうとしており、政治的解決のための提案も進めている。EUは5月29日か30日にLTTEをテロ組織と指定する模様だが、この問題をどう処理するかで内部でも意見が分かれており、このことは東京での議論に影響を与えるかもしれない。ノルウェーのハンセン=バウアー特使はスリランカ政府に想定を吟味するよう強く求めており、また関係各位が交渉につくための新たな方法を模索してもいる。要約終わり。

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会合の模様(Tamil Netより)

ちなみに去年5月にプラバカランは殺され、LTTEは政府に制圧されました。
LTTEはノルウェーで活動している人も多く、ノルウェーでの関心は高め。
Aftenpostenでは、LTTE関連の公電をここに挙げた以外にもかなりアップしています。

[追記]
公電の文書番号を追加しました。
Aftenposten紙が公開した公電のまとめサイトを参考にしました。
nofrillsさんに教えていただきました。