2010年12月11日

ロシア版ウィキリークス&新しい告発サイト

実はこんなサイトがあった。

Kompromat.Ru
http://www.compromat.ru

ロシア版WikiLeaks。一番古い資料は1999年。エリツィンがダメになるあたり。
目的は、情報にアクセスする自由、自由な精神の向上、及び文化・科学・教育活動、これらに対する国民権利の行使を可能にすること。らしい。

でもYulia Latynina(Echo of Moscowでお馴染み。って有名じゃないか…。)いわく、このサイトは玉石混交。かなりガセネタもあるんだとか。
でも、こういうのがロシアにもあったのね。

変わって、こちら新しい告発サイト「オープンリークス」の話。
アサンジのワンマンが気に入らなくって、やめた人たちが作ったから、ノウハウもそれなりにあるのだろう。理念はウィキリークスと同じらしい。

Dagens Nyheterでの記事によると、

ウィキリークスとの相違点は
・受け取った漏洩情報を直接公開はしない。アクセスは既存のメディアやNGO、NPO、労組などの団体に限定される。

・漏洩情報をどう公開するかは、それぞれの団体の責任となる。

ということらしい。でもそのアクセスできる団体をどう規定するのかとか、情報の精査も個々の団体に委ねられるのかとかは不明。

まあ、「ウィキリークスの情報を使って記事を書いてる新聞に対して、怒っている政治家がほとんどいないのは、興味深い。」と言ったのにはうなずける。
もしこういった新聞がソースがウィキリークスであることを伏せた場合どうなるのか、それがオープンリークスで分かるかもしれない。

[追記] 12/23
オープン・リークスについての日本語で読める詳細な記事(日経)↓
ウィキリークス離脱組が新告発サイト 元ナンバー2が明言

2010年12月9日

真っ当なビジネスとは #WikiLeaks

[追記]
Flattrの共同設立者の1人、Peter Sundeは、Pirate Bayの立ち上げ人でもあります☆
そりゃあ、WikiLeaks応援するわな。 

 ***

企業による資金ルート遮断作戦によって苦戦しているウィキリークスに力強い味方が!
DataCellというアイスランドの中間支払い処理を行っている会社です。

Andreas Fink(アンドレアス・フィンク)CEOは、VisaやMastercardの決定を不服とし、ウィキリークスの寄付金の送金サービスを続行するとホームページで発表。以下抜粋&翻訳。

***
12月7日
[一部省略]
言論の自由は、検閲や制限なく話せる自由だ。言論の自由は国連人権宣言第19条で認められ、国際人権法で認められた人権である。さらに、欧州、アメリカ大陸、アフリカそれぞれの国・地域の人権法でも認められている。[訳注:アジアと書かれていないのが考えさせられる…]
ウィキリークスが何か罪を犯したなんて、考えるのもバカバカしい。もし、ウィキリークスが犯罪的ならば、同じ情報を流している CNNや BBC、ニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、アルジャジーラといったその他大勢も犯罪者ということだ。だけど、誰も彼らに[そういった意味で]触れようともしない。まだニューヨーク・タイムズを購読することもできるし、クレジットで買うこともできてるだろう。
世界のどこかで、何かの犯罪で、ウィキリークスが組織として告訴されたということも聞いていない。結論は、ウィキリークスは我々の人権のために闘っているのだから、彼らに寄付するのはただただ名誉なことである、ということだ。
DataCell はクレジット・カード支払い処理を手伝いながら、ウィキリークスのために業務を行うまでだ。このことをいろんな視点からどう捉えることもできる。[だが]我々は誉れ高い組織のために、彼らがサーバー上での読み込みと、人々が読みたがっているメッセージ[おそらく公電]の配信とに必要な資金を得る手伝いをしている。
VisaやMastercardのような世界規模でのクレジット・カード決済を独占している大企業が、法律よりも政治勢力を優先しなければならないと考えているなら、何億ユーロという損害を覚悟しなければならないし、相当な取引を失う覚悟もしなければならない。このことで、世界規模のクレジット・カードが終焉するということも十分ありうるだろう。

アンドレアス・フィンク
DataCell ehf CEO


***

翌日には、さらに強調するような文章を掲載。


***
12月8日
[一部省略]
ウィキリークスに対し支払い処理を行っているDataCell ehf は、寄付が再び可能となるよう即刻、法的措置を取ることに決めた。ウィキリークスがVisaのブランドに傷をつけたとは思えない。ウィキリークスへの支払い停止は顧客との合意を反故にするものだ。Visa利用者はウィキリークスへ寄付する意志をはっきりと示しており、Visaはその要求を満たせていない。ウィキリークスへ送金をする場合に比べれば、送金を阻止する方が、彼らのブランドをもっとずっと傷つけることになるだろう。大勢のVisaの顧客が、私たちに、寄付が実際できるかということを確認してきた。また彼らはVisaが彼らを拒否したことを不服としている。Visaが私たちを締め出そうとしている政治的圧力の下にいるのは明らかだ。Visaのような世界クラスの会社は政治に関与すべきではないし、送金という得意分野で普通にビジネスをすべきだ、と我々は強く信じている。ギャンブルやポルノといったビジネスに対し送金することは、彼らにとって何ら問題ない。人権を掲げるウィキリークスへの寄付の方が倫理に反するというのが何故かなんて、私の理解を超えている。

VisaはウィキリークスとDataCell ehf に対し大きな損害を与えた。支払いを7日間以上差し止めるということはありうるかもしれないが、今後一切の寄付を拒否するというでは、寄付そのものが成り立たなくなる。これは明らかにウィキリークスにとって財政上の大きな損失を引き起こすわけで、これこそが差し止めの唯一の目的のように思われる。これはVisaのブランドがどうこうの問題ではなく、政治問題だ。Visaはこういったことに関与すべきでない。

寄付をしたいという方は振込を利用してください。 そして、地域にあるVisaの取引会社に行って、Visaを使ってウィキリークスに寄付をしたいというあなたの誠実な要望を分かってもらってください。その間、私たちウィキリークスをサポートすることに全力を尽くします。

アンドレアス・フィンク
DataCell ehf CEO
***

こういう粋なCEOもいるんだな、とちょっと感動しました。
まあ、リスクもあるけど、いい宣伝にもなるし、なかなかしたたかな社長さんなのかもしれません。
でも、こういうCEOが成功できる世の中になるようWikiLeaksは頑張ってるのだと考えれば、この反応は当然か。

それからスウェーデンのMalmö(マルメ)にあるFlattrという会社もウィキリークス支援を発表しました。
以下、SVTの記事の一部翻訳:

***
社長のLinus Olsson(リーヌス・オルソン)氏は
「現時点で何の判決も下されていないのに、(送金停止を)続けるのは違法だ。」

「アサンジ氏はスウェーデンで一個人として起訴された。ウィキリークスが起訴されたわけではない。」

「ウィキリークスに寄付したいという人がいるなら、我々はその手はずを整える。警察とのゲームに付き合う気も、勝手な規約を作るつもりもない。」

と、語っている。

今のところ、約3500人がFlattrを通じてウィキリークスに寄付をしている。寄付金は目下増加しており、おそらく一連の騒動が増加の原因だろう、とオルソン氏。
寄付金は直接ウィキリークスに行くのではなく、同サイトの運営の法的支援をしているオランダにある基金に送られる。
Mastercard、Visa、Paypalのような大企業は、違法行為をしているとの理由でウィキリークスとの関係を切っている。
MastercardやVisaとは異なり、Flattrのホームページに対する外部からの攻撃はない。

***


ちなみにFlattrはソーシャル・マイクロ・ペイメントという画期的な寄付システムを採用しています。
この方式だと送金遮断はかなり難しくなるそうです。興味のある方は、ホームページをご覧下さい。(てか、この紹介文かなり愉快な書き方してるな…。)

さらに!Paypalが堪忍したのか、口座資金凍結を取り消したようです!
口座への新たなる寄付は制限されたままですが、口座にすでに送られた寄付金はウィキリークスへ送金されるそうです↓
Paypal släpper Wikileaks-tillgångar


[追記]
Flattrに関する翻訳元になった記事は、SVT textにしかありません。時間が立つと消えてしまうので、一応原文を張っておきます。

Malmöföretag hjälper Wikileaks

Malmöföretaget Flattr är ensamt om att
förmedla donationer till Wikileaks.

Ingen är vare sig dömd eller åtalad
för läckorna från Wikileaks, och så
länge det gäller kommer Flattr att
fortsätta förmedla pengar till
organisationen, säger Linus Olsson,
bolagets styrelseordförande.

-Och det Assange anklagas för här i
Sverige rör enbart honom som person,
inte Wikileaks, säger Olsson till TT.

-Om någon vill stöjda Wikileaks med
pengar, ordnar vi det. Vi ska inte
leka poliser eller stifta egna lagar.

Hittills har ca 3.500 personer donerat
pengar till Wikileaks via Flattr.
Bidragen har ökat på senare tid enligt
Olsson, sannolikt som följd av all
uppståndelse.

Bidragen går inte direkt till
Wikileaks, som inte är någon formell
organisation, utan till en stiftelse
i Nederländerna som juridiskt stödjer
verksamheten.

Stora företag som Mastercard, Visa och
Paypal har brutit med organisationen
med motiveringen att den sysslar med
illegal verksamhet.

Till skillnad från Mastercards och
Visas hemsidor har Flattrs sajt inte
utsatts för några attacker utifrån.


英語で読める記事はこちら(The Local)。

ウィキリークス応援団 2


まだまだウィキリークスを支援する人はいっぱいいます。
ミラーサイト*もすごい勢いで増殖してます。さっき見たら1300を超えていました!

*コピーサイトと書いたら、「コピーは情報が古いままだけど、ミラーはオリジナルとシンクロして常に情報が書き換えられるからミラーサイトと言うべき。」というご指摘を頂きました。

すごいことに、国家単位の応援団まで現れました。
なんとボリビアは政府サーバーでWikiLeaksのリーク内容のホスティングを開始しました。
南米の左派が強い国では、ウィキリークスを支援する政府がいくつかあるようです。
エクアドルは、「うちの国に逃亡しないか?居住権も無条件であげるよ。」と申し出てくれましたし。

う〜ん、これは心強い!

さらに、ブラジルの大統領もウィキリークスを擁護!

国連職員のフランク・ラ・ルエ(Frank La Rue)言論表現自由の権利の促進・保護に関する特別報告官も「米国はアサンジ氏に対して立件することはできないだろう。もし、それでも立件するとすれば、この件は言論の自由にける非常に悪い例となる。」と言っています。

偉い人!(じゃなくてもいいけど、特に偉い人!)ウィキリークス応援宣言を出してください!

建前の復権:WikiLeaksの意義 〜アサンジ氏のインタビューより〜


フォーブスでのインタビューの翻訳が日経新聞で読めるようになっています。



以下、告発の意義を語っているところの抜粋。

WikiLeaksの根本的な意義

今回の案件[注:公電のこと]も、同じようなものになるだろう。言語道断な法令違反や倫理にもとる行為もいくつか明らかになるが、それに加えて、その背後にある意思決定の構造、社内の経営倫理といったものも明らかになる。そこに非常に大きな価値がある。
イラク戦争の機密文書についても同じで、多数の犠牲者を生んだ注目すべき[注:報道価値の高い]事件の記録も含まれているが、そこから戦争の全体像が分かることに大きな意義がある。

企業に関わるリークが50%くらいだというWikiLeaksが、健全な市場を作る一助となる

不誠実な企業が誠実な企業よりも内部告発によってマイナスの影響を受けるということは、誠実なCEOが誠実な会社を経営しやすくなることに他ならない。それが我々の基本的な考え方だ。オープンで誠実な企業と、閉鎖的で不誠実な会社とのせめぎあいの中で、我々は後者に対して社会的評価の面でとほうもない負荷をかけようとしている。

最終的には、質の高い製品を作る誠実な企業が、質の低い製品を作る不誠実な企業に対して競争優位に立てる状況が生まれるのだ。また従業員を大切にする企業の方が、大切にしない企業よりも有利になる。

私に特定の思想や経済思想の持ち主というレッテルを貼るのは誤りだ。私は様々な考え方を学んできたが、その1つが米国流のリバタリアニズム(絶対自由主 義)、市場重視のリバタリアニズムだ。このため、こと市場に関してはリバタリアンの立場をとるが、政治学や歴史の知識もあるため、自由市場は自由になるよ う働きかけなければ最終的に独占が生じることは理解している。ウィキリークスは資本主義をより自由で、倫理的にするためのものだ。

***

この数十年間、国連の舞台などで人権とか自由についてのいろんな取り決めが行われた。それは、多くの場合、建前となってしまうかもしれないけど、でもそれでうまく事が運ぶこともある。
今の現状、例えばWikiLeaksへの露骨な圧力とかを見ると、もうその建前すら無視され崩壊しつつあるんだなってことが、はっきりしてしまったような気がする。

一国レベルの法律も国際法も、1人の人間を捕まえるためにこれだけ『例外』を作れる。1つのウェブサイトを閉鎖するためにこれだけの『例外』が許される。そしてACTAを始め、この建前をも反故にしてしまうような新たなルール作りが進行している。

ウィキリークスは建前を現実世界で通じるものにしようとしているんだと思う。
今まで決めてきたルールに本質的に忠実であろうとしているだけなんじゃないか。

誠実な行いが評価され、不誠実な行いが正される、そんなことがまったく当たり前でない世の中を、どうにかして変えたいという意志が原動力。そのためには、なんとなく企業が悪いとか、政府が悪いと言うのではなく、誰のいつのどんな意思決定が、どんな結果を招いているのかをきちんと指摘することが必要。

だから、ウィキリークスを支援する人を名指しで評価し、反対に潰そうとする人を名指しで非難することも大事だと思う。

それにしても、この人は本当に頭がいい!と心底思った。
PCだけじゃなく、数学、物理も学んできたとかもそうだけど、話の運び方が巧みで。
インタビューとかチャット上の質問とか、ほとんど即答しなきゃいけないような場面でも、完全に理路整然と無駄なくしゃべってる。小論文でも読んでるような気分になる。
あと、言葉のセンス。ガーディアンの一問一答で、「各国政府が権力基盤をfiscalise[会計化]してきた」みたいなことを言ってたけど、うまい造語だと思った。アサンジさんが発明した言葉じゃないんだろうけど、現代政治を一発で表現する動詞だと思った。
WikiLeaksの意義をいろんな人が書いているけど、結局この人の表現が一番説得力があって洗練されてると思う。

あんまり彼本人に関心を寄せてはいけないとは思いつつ、スゴいと思わずにはいられない…。